元魔王な令嬢の父、襲来する
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ベルリーナ、父がいきなり登場したので、ちょっとパニックになってます。
大魔人、お怒りです~!!
現れた父上は、冷気を放ち、魔道具製作部長をロックオンした。
部長は後退りしようとしたけど、床から生えた氷が部長の足を駆け登り、その下半身を氷で固めた。
「長官、髪、部長の髪だけは凍らせないで下さい。後のケアが大変なんです!」
今、そう言う問題じゃないだろ、助手。
あ!父上のおでこが赤くなって、ちょっと腫れてる。
「レザリス・グローナ!お前は、ガキの頃から変わらんな!お前が子供の頃から今まで、私が、何度お前を粛正したか。そうだ、これを機に、とことん仕置きをしてやろう!」
「長官、手紙届きました?」
「私の額にぶつかってきた、あのふざけた落書きか?
『今、ベルリーナ嬢と殿下と一緒に、ラブラブして、紙ひこうき作って遊んでま~す。可愛いベルリーナ嬢、魔道具製作部に欲しいんで、下さいね。後、この紙ひこうき魔道具を王城で連絡網代わりに飛ばす許可下さ~い。あなたの愛する可愛い奥様の従兄弟、レザリスより』
連絡網に紙ひこうきを飛ばす件に関しては、協議にかけといてやろう。便利そうだ。
しかし、可愛いベルリーナとラブラブとか、私の妻が可愛いとか、二度と口に出来ない様に……ああ、口を凍らせておけば良いな」
ブンブンと首を横に振りながら、部長の顔がどんどん青くなる。
ふむ。あれは、焦って恐ろしくなって顔色が悪くなってるんじゃなくて、低体温症の方だな。でも、自業自得だから、放置して良い?
「ベル、あれは、悪い大人の見本だからな。私達は、決して部長の様な大人にならないようにしよう」
「はい、ライ殿下。という事は、部長は放置して良いですよね」
「世の中、怒らせては駄目な人間がいると言う事だ、ベル」
私と殿下は、抱き合って、2人して、うんうん頷きあった。
そう、世の中には、決して怒らせてはならない人がいるのだ。
さらば、部長。
「殿下、ベルリーナ嬢、助けてくれないの?助けてよ~。紙ひこうき一緒に作った仲でしょう?ね!」
聞こえない~聞こえない~
魔界にいた、あれだ。猿の魔族。よく目を押さえてたミザル、耳を押さえるのが癖だったキカザル、口を押さえて要らない事を言わない様にしていたイワザル。奴らの気持ちがよくわかる。
「ガキの頃の様に、お尻ペンペンして木から吊るしといてやろうか?それとも、首から下を凍り漬けが良いか……」
「長官!部長の仕事が溜まってるので、どちらも、ご勘弁を!書類仕事が出来るようなお仕置で、お願いします!」
お仕置はOKなんですね、助手さん。
「しょうがない。レザリスは、仕事が終わるまで執務室の椅子にでも縛り付けておけ。それと、子供達と遊び回るくらい暇なようだから、こちらからも更に仕事を回しておこう」
父上は、不機嫌そうにフンと鼻で笑うと、魔道具製作部長の足下の氷を溶かし、代わりに両手首に氷の枷を作り、氷の鎖を枷から生やした。
「15分で溶けるから、それまでに執務室に放り込んでおけ」
部長を追いやって、居座る気、満々のベルリーナの父です。