元魔王な令嬢は、紙ひこうき軍団を作る
読みに来てくださって、ありがとうございます
ここの所、近所の神社の祭りが順々に続いていて、神輿の太鼓が賑やかです。子供の頃から聞いているので、脳内でリフレイン出来ます。暑いので、熱中症に気を付けて下さいね。
私のファンクラブの創立は、何だかヤバい宗教の教団が出来そうなので、ご辞退した。
それならば、せめて!と、紙ひこうき作りを教えて欲しいと魔道具製作部長が私にすがってくるので、ライ殿下と私と部長の3人で作ることになった。
5歳児に縋る眼鏡イケメン男……本当に残念な奴でしかない。
そう言えば、近衛兵のメナードにエディ、私の叔父上や、この部長と言い、恐らく皆、イケメンと言われ女の人にモテモテなんだろうが、全員、残念感が否めない。
ひょっとして、私が5歳だから、皆、素が出てるのか?まあ、黙って立ってれば、皆イケメンっぽいもんね。
と言うことは、この中で一番イケメンなのは、ライ殿下?素でもイケメンだし、何しろ可愛い!
「ん?どうしたベル?」
じっと殿下を見つめる私に、殿下も私を見つめ返した。
うん、やっぱり一番イケメン!
「ライ殿下が一番カッコよくてイケメンだな~って、考えてました」
殿下は、目を見開いて顔が真っ赤になり、片腕で顔を隠すようにして、ちょっと仰け反った。
あ、これって、ビックリしながら照れた時の殿下の癖かな?
やっぱり可愛い。可愛い。可愛い。
「私も、ベルが誰よりも一番可愛いと思うぞ」
カッコ良くて、イケメンで、可愛いライ殿下。好きだな~。
「大好きですよ、ライ殿下」
「私も、ベルが大好き…だからな!そうだ、母上にお手紙を書こう!再度、『嫁』認定して貰えるようにお願いして、一緒に暮らそう」
そう言う所も好きですよ、ライ殿下。くすくす。
「ファンクラブ創立にかこつけて、ベルリーナ嬢をお持ち帰りしようと思ったけど。これでは、殿下も一緒にお持ち帰りしなくちゃ行けませんねー」
魔道具製作部長が、私と殿下の向かい側のソファーで脚を組み、両腕を胸の前で組ながら、独り言る。
「「持って帰ろうとするんじゃねえ、この変態が!!」」
両側の壁前から、メナードとエディが叫んだ。
「まあ、今日の所は、紙ひこうきだけお持ち帰りしますか」
部長の言葉を聞いたライ殿下が、慌てて私を抱き込んだ。
「ベルは私の嫁だ。勝手に持ち帰るんじゃない!」
「わかりましたよ、殿下。後でキチンと申請して、魔道具製作部の職員として、お迎えしますね。ねえ、ベルリーナ嬢」
そこで、私は昨日の叔父上との会話を思い出した。
「あ、そう言えば私、叔父上に、今日から魔法省にお仕事に来いと言われてたんでした」
「そうなのか、ベル?」
「はい、ライ殿下。でも、魔法省の魔術医であるうちのお母様に、今日1日は殿下と一緒にいる様にと言われてるので、ここにいるのも魔法省のお仕事の1つでしょうか?」
「ベルは、仕事で私と一緒に居るのか?」
殿下が少し悲しそうに私を見た。
そう言うのには弱いんですよ、私。
「そうかもしれませんが、大好きなライ殿下と一緒にいるお仕事!これって、役得とか言うやつでは?」
うんうん、絶対、そう。だから、殿下、元気出して。
「くっそー!アルジャーノンの奴、先に自分の部署にベルリーナ嬢を持って行ってたか~!だから僕に、ベルリーナ嬢に『会いに行って来い』と、言ってたんだな
いや、待てよ。魔法省預かりと言うことは、まだ間に合うか?うちも魔法省なんだし、今ならまだ、うちの部署に貰えるかも?」
突然、騒ぎだしたり悩み出したり、部長は忙しない人です。
そんなこんなで、紙ひこうき作りの材料も揃い、いざ、紙ひこうき作りです。
「私は、この件を、まず父上に報告せねば。そして、母上に嫁申請だな。
ネトラス、何度も悪いが、父上の所に今から書く手紙を持って、紙ひこうきを飛ばす許可を貰ってきてくれ。その後、母上にも、連絡を。いきなり紙ひこうきが飛んできたら、お腹の赤ちゃんがビックリするかも知れないしな」
「はい、ライ殿下」
ネトラスは、待ての出来る良いワンコである。いや、人間の5歳児だけど。何か、いっぱい仕事をさせて貰えて、嬉しそう。
「では、僕は魔法省長官に紙ひこうきを飛ばそうかな。あの澄ました顔に紙ひこうきをぶつけたら、さぞビックリするだろうな。
後は、うちの助手かな~?ベルリーナ嬢に髪を結って貰ったって書いたら、憤死するかも」
魔法省長官って、私の父上の事でしょう?止めて~!それ、私が怒られる案件だから。
おまけに、助手に、私が部長の髪の毛結ったらって話を書いたら、私が呪われるの必須じゃない!
とんでもない話を聞きながら、戦々恐々として、私は誰に手紙を書こうか悩んでいた。
叔父上は、こんな変態を送り付けて来たので、却下。しばらく、無視。
母上は、魔術医の仕事で忙しいだろうし。
父上には、部長が手紙を書くから、書かなくても良いよね。
お祖父様は?嬉々として喜んでくれるに違いない。面白い事が大好きなので。それに、お祖父様の魔法薬剤師局の面々は、恐らく気にしないと思う。
よし、決定。
私が悩んでいる間に、ライ殿下は国王陛下への手紙を書き上げ、封蝋までしてネトラスに手紙を持って行かせた。
封蝋の手伝いまで出来る5歳児って、ネトラスってば、結構優秀~
「ライ殿下、お手紙書くの速いですね」
「はぁぁ……昨日ベルリーナが帰ってから、教師にお茶会で騒いだ罰として
『私は、二度と公の場で騒ぎを起こしません』
と、1000回書かされたんだ。お陰で、字を書くのが速くなったな」
お疲れ様でした、殿下。
そー言うのを、前世魔王だった頃は確か、怪我の光明とか言ってたな~『じいや』が。
「何だか腹が立ったので、最後にデカデカと
『私は、ベルリーナを生涯かけて愛し、一生慈しみ、何があろうと離さないと誓います!』
と書いたら、教師に、
『むちゃくちゃ愛が重いから、ベルリーナ嬢にそれを言ったら引かれるから、言うな』
と、止められた」
言っちゃってますよ、殿下。
そんな殿下も好きですが。
「ベルは、愛が重いのは嫌か?」
愛って、まだよくわかんないので、ドンと来いですよ。
「殿下が好きなので、全然問題ありません。むしろ、殿下の気持ちがよくわかって良いです」
ちゃんと私にいつも気持ちを伝えてくれて、私を大事にしてくれる殿下は、男前だと思います。
さて、3人とも手紙を書き終わり、それを各々紙ひこうきに折った私達は、いよいよ紙ひこうきに魔力を込める準備をしました。
それにしても、魔道具製作部長、一体幾つ作ったんですか!?
「魔道具製作部長、そんなに紙ひこうきを作って、魔力は大丈夫か?」
「大丈夫です殿下、僕の魔力は変態並みだと言われています!」
魔力も変態なのか、部長~ ┐(´∀`)┌




