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元魔王な令嬢は、紙ひこうきを作る

 読みに来てくださって、ありがとうございます。


 今回、謎の解明がちょびっと進みます。

 王城での朝食の後は…何をするんだろう?


「普段なら、勉強をした後、鍛練の時間があるのだけど。」


 ラインハルト殿下も、ソファーに座り、思案気に胸の前に腕を組み、首を傾げた。


「本日のライ殿下の予定は、ありません。このお部屋でゆっくりとしていただく様に、との事です」


 朝食後から殿下の部屋に来た侍従見習いのネトラスは、朝から事情聴取とやらを受けていたらしい。茶髪で多分茶色い眼をしている。何しろ、彼は目が細くて、眼の色が分かりにくい。見えてるんだろうか?


「イースタン嬢が何か失礼な事を考えられている気がしますが…不敬をお許し願えますか?ライ殿下?」


 ラインハルト殿下は、ニヤリと笑って


「いつもの事だろう?言いたい事があるのなら、今の内に言っておけ。今なら、アンナも居ないからな」


「僕は殿下の侍従見習いですからね。どうして僕を差し置いて、イースタン嬢が夜中に殿下の元に呼ばれるんです?」


「ふふん、それは私の嫁だからだ」


「はい、はーい。ラインハルト殿下。発言していいですかー?」


 殿下の隣に座っていたが、わざわざ私は手を挙げてみる。


「ライで良いぞ。そうだ、ベルリーナも、ベナと呼ぼう。嫁ならば、愛称が必要だからな」


「いえ、それはちょっと。ベルとか、リーナとかにして下さい…」


 何故に、名前の最初と最後を繋げるかな、殿下。ベルリーナがベナなら、うちの庭に生えてる毒草のベラドンナもベナだし。何か、嫌。


「まあ、リーナよりベルが良いな。元気一杯っぽいしな。じゃあ、ベル、発言して宜しい!」


 やかましいと言うことか?まあ、ベナよりは良いけど。

 ふんぞり返ってそう言ったライ殿下は、むちゃくちゃ偉そうだ。


「ネトラス、私は、魔術医である母に呼ばれたの。まあ、ライ殿下も私を呼んでらっしゃった様だけど。

 お母様が言うには、私の魔力と殿下の魔力の波長が合うんだって。だから、昨日の夜から、調子の悪かった殿下の側にいて、殿下の魔力の波長を整えなさいって、お母様に言われてるの」


 まあ、言わば、魔界にいた魔族医の飼っていたバロメーターとか言うやつだな。患者の身体に巻き付けておくと、患者の異常を感知したらビービーうるさく鳴くやつだ。

 だから、私も殿下をイライラさせるやつがいたら、ビービーうるさくしても良いわけだ。ふんすふんす。


「僕、朝起きたら、事情聴取に呼ばれて、初めて殿下の状態を聞いて、ビックリしたんですからね!僕は乳兄弟で、殿下の侍従見習いなのに!

 なのに、殿下の婚約者だからって、昨日初めて殿下に出会ったばかりの新参者?でしたっけ?が、大きな顔をして夜中からずーっと殿下にくっついているんだ」


「要するに、ネトラスは私の役に立ちたいんだな?」


 ライ殿下は、訳知り顔で頷いた。

 5歳の侍従見習いを夜中に叩き起こして、どうするんだか?

 ああ、侍従見習いとは言うが、小姑みたいな者か。となると、あれだな。マウントを取っておかないと、ね。ふふん。


「それにしても、アンナもヴィヴィアンも、まだ事情聴取から帰らないのか?意外に時間が掛かるな?」


「アンナ姉さんに御用なら僕が……って、ライ殿下、ヴィヴィアンって、誰です?」


「私の侍女の1人だろう?昨晩もお前達と一緒に私の部屋で仕事をしていたでは、ないか?」


「いえ、ここの所、殿下からの不眠の訴えがあったので、何かしら不審な事があるんじゃないかって、僕とアンナ姉さん以外の侍女は外されてるんです。だから、アンナ姉さんが忙しくて。昨日の夜も、部屋には僕と姉さんと殿下の3人しかいませんでしたよ?」


「どう言うことだ?ここ数日、ヴィヴィアンという侍女が部屋にいたぞ?」


 ライ殿下にしか見えなかった侍女。それとも、ネトラスには見えなかっただけ?

 へえ?これは、これは。魔術師団長のアルジャーノン叔父上に要連絡ですよね。


「ところで、ネトラスは足が速いの?」


「モチロンです。殿下の為に走り回ってますからね。いざという時の為に、走る訓練もさせられるんです!」


 ネトラスがふんぞり返った。でも、5歳でしょ?


「疑ってやるな。ネトラスは、本当に速いぞ?何せ、犬よりも速く私の投げたボールを取ってきて、時々、犬に怒られている」


 何をしてるんだ?5歳児…ひょっとして、殿下の犬になりたかったのか?犬にもマウント取ってたのか?

 だがしかし、これは、使える。ニヤリ。


「ベル、悪い顔になってるぞ?」


「ライ殿下、今日は紙ひこうきを作りましょう」


 役に立ちたがっていたネトラスに、紙とインクとペンを用意してもらった。


「ライ殿下、まず、宛先を書いてください。宛先は私の叔父のマクリスター魔術師団長です。そして、ヴィヴィアンの件について、ライ殿下が見たことを書いて下さい。最後に、殿下の署名を」

 

 ちょびっとの風の魔法で、手紙を乾かして、っと。紙ひこうきを折る。

 魔王だった前世でも、よく紙ひこうきを作って飛ばしてたな。手下は皆、自由なヤツが多くて、連絡しようにも何処にいるかわからないから、仕方なく、こうやって手紙を飛ばしてたんだった。


「ベル、これは、何だ?」


「紙ひこうきと言う名の、手下です。ただ、飛んでいくだけで、使い捨てですけど」


 そう言って、私は殿下の手を持って紙ひこうきの上に置いた。


「さあさあ、殿下。仕上げの呪文ですよ。『飛べ飛べ紙ひこうき、宛名の元へ』」


「『飛べ飛べ紙ひこうき、宛名の元へ』」


「『他の誰の手にも渡らず、真っ直ぐ飛んで行け!』」


「『他の誰の手にも渡らず、真っ直ぐ飛んで行け!』」


「さあ、ネトラス!紙ひこうきと一緒に走って魔術師団長の元へ!どっちが速いか競争よ!さあ、飛ばすよー!」


 私は、そう言うと、廊下に出て、紙ひこうきを飛ばした。

 ネトラスは、何が何だかわからない顔をしながら、それを追う様に走っていった。


 走れ走れ~( ≧∀≦)ノ廊下を走って、王城のメイド長に怒られるが良いわ!おーっほっほっほ!


 魔王の国では、何代か前の異世界の知識が伝わってた様です。その内、そんな番外編を書きたいです。


 さて、ベルリーナは自分より下のヒエラルキーを作りました。がんばれ、ネトラス。

 次回は、ネトラス視点かな?

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