元魔王な令嬢は、ビーズ細工の動物達を作る。
読みに来て下さって、ありがとうございます。
材料も揃って、いよいよ新しい手下作りです。
ドワーフ達は、人事部の面接と、魔法省の取り調べの上、王城に雇われる事になった。
まあ、いきなり身元保証の無い人を雇うわけにもいかないしね。
審査の間は、再び魔道具製作部長の監視下でお試しに働く事になった。とは言っても、魔道具製作部長に監視する能力があるわけでもなく、助手のジョッシュさんが監視よね。
さて、いよいよビーズ細工の動物作りです。嬉しいな~嬉しいな。
「私が新しい何かを作ろうと思うと、必ずやってくるのは、何故?」
「ベルリーナちゃん、野暮な事は、聞かないでくれるかい?」
おまけに、ドワーフ達までやって来た。監視役の魔道具製作部長が、こっちにいるんだから、当然、ここにいるしかないわけで。
「他の男どもが来ているんだ。私もここに来る権利がある」
ライ殿下までもが、権利を主張した。いえ、別に権利を主張しなくても、ライ殿下なら、いつでもオーケー。ウェルカム。
では、気を取り直して、ビーズ細工、ビーズ細工。
定番は、やっぱり熊ちゃんかな。猫もいいし、兎も、可愛いな。
ここは、やっぱり大量生産だけど、色々作ってみよう。色んな色のビーズも有ることだしね。
熊、犬、猫、猿、鶏にヒヨコ、果てはリスにフクロウ。
「フムフム。こうやって結んで形を作っていくわけか」
大きなビーズを使っているので、仕上がりが早い。部長も一緒に作り始めた。
「これは、タコか?」
私の手元を覗いて、ジョンブルが言った。
「えっと、海月かな。タコは足が8本だよね」
イグナートも、興味津々。海月、海月って、足は何本だっけ?
「こっちのこれは、アヒルか?ヒヨコなのか?」
うーん。いくつも作っていると、ちょっと、怪しくなってきた。
「うん。ベルに必要なのは、動物図鑑じゃないかな」
そうですね。まずは、正しい形から、お勉強していかねば。
と言うわけで、やって来ました、王城の図書館です。
図書館長が、可愛いカラー挿し絵の入った動物の百科事典を探しだしてくれた。流石、図書館長。わかっていらっしゃる。
「ライ殿下、くまとネズミでは、ネズミの耳の方を大きくすれば、ネズミっぽくなるんじゃないでしょうか」
「フム、ライオンも良いな」
オスのライオンは、作り易いが、メスのライオンは他の動物と似ていて、見分けにくい。
「色違いで作っても、可愛くなるし、印象が変わるな」
例えば、ピンクで作れば、女の子っぽい感じに仕上がるってことかな。それも、可愛いよね。
「で、この動物達には、どんな仕事をさせるんだ?」
「これは、攻撃用の手下になります。1つ1つの魔石に一発ずつ。攻撃魔法を仕込もうかと思ってます。今まで攻撃に特化した手下はいませんでしたけど、今回、辺境に行くに至って、どんな事が起きるかわからないので。
特に、ベンデンを連れて来いってことは、戦闘になる可能性も、あるんじゃないかしら?」
下手をすると、逃げて来たドミトリーやミザリアを追って来る、追手とも戦うことになるかもしれない。
色んな事態に備えて、色んな手下を揃えて置きたい。例えば、赤い魔石には、火の魔法。
黄色の魔石には、ちょっとした雷の魔法。茶色なら煙幕と、いう風に。
世の中、備えあれば憂いなしなのだから。
「ねえ、ジョンブル。ミスリルの針金で何か面白そうなの編めないかな」
「例えば、どんなのだ?イグナート」
「スカーフかな」
「かぶって結べば、兜の代わり」
「首元で結べば喉や肩を守る防具」
「手のひらをくるめば、篭手の代わり?」
ミスリルのスカーフ。ちょっと使い勝手が良さそうな感じです。