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元魔王な令嬢達は、ドワーフに圧力をかける

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 ドワーフとの、お話です。ドワーフは、ラインハルトやベルリーナよりは、大きいです。



 雑草の処理が終わり、ちょっぴり休憩タイムです。イカロスは、洞窟の上に下にフウッと息を吹き掛け、嫌な空気や、ちょっとした埃を外に追い出した。

 部長が出した自動湯沸し器で、部長がミルクたっぷりの温かいお茶を入れてくれた。

 水を入れた湯沸し器の天辺を指で押さえて魔術を発動させると、ひとりでに、お湯が沸くのだ。火も必要なし。

 うーん、便利。いつでも、何処でもお茶が飲めます。蓋付きマグカップバージョンも、在るそうな。そっちも、便利だな~。


 さて、目下の問題は、転がっているドワーフ2人組の事。

 どうする?どうする?

 このまま転がしておいては、衰弱して死んでしまうとの事なので、ガイが、ちょっとドワーフ達の口をこじ開けて、スポイトでスペシャルドリンクを入れてみてくれた。

 まあ、夜のお夜食の時間だし。どうぞ、ご相伴あれ。


「ぐぇっ」


 アヒルの潰れた様な呻き声と共に、涙を少々流しながら、ドワーフ達が目を開けた。


「何てものを飲ませやがる。一気に生き返っちまった。うげぇー」


 ドワーフさんは、野菜が嫌いなのかもしれない。

 彼は、よいしょと、縄に縛られたまま身体を起こした。そして、もう1人を蹴り出した。


「お前、いつまで寝てんだよ。さっさと起きろ、唐変木」

 

 もう1発とばかり、彼が思いっきり寝ているドワーフを蹴ろうとしたが、そのドワーフはコロンと転がって、クスクス笑い出した。


「俺が唐変木なら、お前は、大ドジ野郎だよね」


 寝転がっているドワーフが、口の周りをペロペロ舐めながら、言った。こちらは、随分とご機嫌そうね。


「これ、いいね。美味しくて、スゴく栄養があるよ。オマケに、防カビ……じゃなかった解毒、解呪まで付いているのか。至れり尽くせりだな。でも、ちょっとこれだけでは、いくら頑丈な俺たちドワーフでも、元に戻れないからな。もうちょっと、お代わりをもらえないかな?」


 私がちょっと怪訝な顔をしていたのが、先方にばれたらしい。


「暴れや、しねえよ。こんな所で暴れたら、即、龍の餌食にされそうだ」


 もちろん、簀巻きのままで。ちゅうちょなく、漏れなく、イカロスのお腹の中に入ってしまうわね。


「殿下、どうしましょうか?


 ① スペシャルドリンクを追加で飲ませて、言うことを聞かせる。


 ② 脅して、言うことを聞かせる。


 どっちが、いいですか?」


「ベル、どっちにも、いうことをきかせるしか選択肢がないんだが」


「当然です。泥棒さんには、選択権は、ありません」


「ふむ。一理あるな」


 殿下は、私の隣で、思案した。ふと、思い付いた様にカップから、顔を上げた。


「取り敢えず、自己紹介からだな。私は、とある国の王子だ。そして、こちらは、私の嫁のベル。そこにいる、お前達にあの飲み物を飲ませたのが、ガイ。あっちは、部長だ。さあ、お前達も名乗れ」


 スペシャルドリンクを嫌がったドワーフがジョンブル、喜んだのがイグナート。2人とも、ドワーフだが、里を追い出されたらしい。


「ジョンブルが、跡目争いに破れてな。側近の俺も、ついでに追い出されて、この山に捨てられた。俺たちは、ジョンブルが里の奴らの目を盗んで持っていた、とある薬をお互いの身体に刷り込んで、ここまで生き残ってきた。

 で、この洞窟を発見して、今夜は、ここに泊まろうと思ってウロウロしてたら、捕まってしまったねー。笑える」


「ジョンブルにイグナート。私達は、ここの大掃除を手伝いに来た。お前達も手伝うか?手伝うんなら、食べ物をやるし、少しばかりの褒美も取らせよう」


 えー?珍しく甘くない?殿下ったら、どうしたんですか?

 私がライ殿下を見ると、ニコニコしてた。が、目は笑ってなかった。イカロスを見ると、鼻息荒く、フンってした。ガイは、スポイトをプラプラさせて、ドワーフ達をじっと見ている。部長は、いつもの様に、胡散臭い笑みを張り付けている。

 全然ちっとも信用しちゃいませんって、事ですね。はい、わかりました。


 夜食を終えた私達は、順番に洞窟の外に作ったトイレに行って、眠る事になった。

 お布団は、魔道具製作部特製寝袋。


「防火防水、衝撃にも強くて丈夫。消臭効果のおまけ付き。冬は温かくて、夏は涼しい優れもの。最新式の寝袋です」


「じゃあ、私とベルは、身体が小さいから、2人で1つだな」


「伸縮自在ですので、1人1つ……。2人増えたから、足らないですね。しょうがないので、僕とベルリーナちゃんが一緒に寝ますね、殿下」


「私と、ベルリーナで1つ。ドワーフ2人で1つだな」


 部長は、渋々、寝袋を各自に手渡した。各々が寝袋に入り込むと、ドワーフ達の寝袋に部長が指を触れた。


「なんだ?何をした。くそっ、出れないぞ。イグナートも手を貸せ」


「囚人には、拘束具にも、大変身~。大人しく寝ましょうね~」


 部長が、胡散臭い笑顔のままで、答えた。色んな効用が、あるのね。


「ジョンブル~、朝まで大人しく寝ましょうね。お休みなさい~」


 イグナートが、不機嫌なジョンブルをいなして、大人しくさせた。


「心配するな、ドワーフ共は、我が見張っておく。明日も、引き続き、掃除を頼む」


 イカロスが、ニヤニヤしながら、ドワーフ達を見た。まるで、寝袋から出てきて、悪いことしてくれないかなと、期待しているみたい。


「ねえイカロス、何で今日はもう、寝ちゃっていいの?少しでも早く探さないといけないのに」


「何を言う、探し物は、取り敢えずもう見つかっただろう。ほれ、そこに主が持っておるでは、ないか?銀色の棒」


 これか~!これが、ミスリルの延べ棒だったのね。それは、もう、目的は終わってるわよね。





「さて、どうやってここから逃げるかだな、イグナート」


「何だって逃げるんです?こいつらに寄生して、ご飯も、住む所も、貰っちゃいましょう」


「お前は、いつも適当だな」





ちょっくら、ドワーフ事情でした。明日は、皆で宝探しでしょうか。

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