朔は月の花
「カクヨム」様に投稿した作品を元に
「小説家になろう」様向けに描き直したものです。
オリジナルはこちら
https://kakuyomu.jp/works/16817330661464089221/episodes/16818093087535561980
何を想いて泣いてるのか
空恋しくて泣いてるのか
憂いた貴女の横顔は
欠けてしまった三日月のようで
頬を伝わる白糸に映る
望月の姿 掬ってみても
儚く空いた心の穴を
埋めてやれるはずもなく
咲くこの花を手折ったばかりに
枯らしているのは己というのに
疾くこの月を裂いてしまう前に
にぎるこの手を放せばいいのに
この手の中でこそよ咲き誇れと
望み願うはただの傲慢なれども
浮かびて満ち満ちた一夜の花に
魅入られし愚者の切なる願いで
愚かであるゆえただ、いま一度
おのれで光をくらく塗りつぶす
手放せばもう
戻らぬ気がして
手放さねばもう
戻らぬとしても
三日月の 端から零れる 白糸を
掬ってみても 陰りは消えず