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第57話 勉強会その2・前編

主人公は興奮している!

「たそがれーにひをうがーつぐれーんのゆみやー♪」


 セーラー服姿の私の熱唱。


 マイクを両手で持ち、一曲歌い終わった。

 学生服の夫がパチパチと拍手してくれる。


 私は夫と一緒にカラオケに来ていた。

 2人きりで3時間コース。

 狭い個室で2人きり。まあ、それに何も問題ないんだけど。

 監視カメラ以前に、夫婦だから。

 ちなみに遊び目的では無い。


 ……私の英語強化特訓のため。


 テーブルには飲み物の他は、単語帳とノート、連語帳。

 連語帳はあれだ。前に夫にプレゼントしてもらった、お義父さんのお古。

 この勉強会を提案されたとき、持ってきてと指示されたから持ってきた。


「さあ、ではさっき覚えた英単語と連語、覚えてるかどうかチェックしてみようか」


 えーと……


 skill わざ

 feed 飼う、食べさせる


 覚えた英単語と意味をノートに書き出していく。


 夫がそれを見守ってくれる。

 どうしよう……


 勉強してるのに、楽しすぎる……


 気合の入れ方がまあ、違うので。

 私の集中力も違う。


 このひとを失望させたり、呆れられたりしたくないから、必死で覚えたし。

 書き出していく文字に、夫が何も言ってこない。


 つまり、間違ってないってことだ。


 よし……


 そして


「うん。完全に覚えたみたいだね。次、行こうか」


 言って、単語帳の頁を繰って、連語帳の頁を繰ってくれる。

 そして、示された部分を暗記する。


 暗記しながら。


「前にさ、何で今の時代に英語を義務教育でやらなきゃいけないんだ、って言ってたよね。のぞみ」


 雑談。

 うん。前に真虎さんの前で愚痴った覚えがある。


 ホンキで意味が分からないんだからしょうがないじゃん。


 だって話す機会無いんだもの。

 昔は英会話、ってのは重要スキルだったらしいけど。


 今は普通に生きてたら、英語話す機会なんてほぼ無い。

 

 だって……完全な外国人って概念が存在しないんだもの!


 唯一ある外国は「あの国」だけ!

 そしてあの国の人は、同じ言葉喋ってる!

 だから英語不要!


 科学者の場合、昔の英語の論文を読み解く必要があるから、英語が重要スキルになるけど。

 そうでないなら要らないし。


 ……こういうの、頭悪い人間の発想なのかなぁ?

 なんかそういう気がして、辛い。


 やだなぁ……この人に呆れられるの。

 私がそう思ってるの、顔に出てたのか。


「……のぞみの気持ちはもっともだけどさ、大学ではどうせ外国語勉強しないといけなくなるんだよ」


 そのとき、困るでしょ?

 それまでの教育で、外国語を勉強した経験が無いとさ、って。


 ……真虎さーん!


「真虎さん」


 気が付いたら声が出ていた。

 すると


「何?」


 応えてくれる。

 そのまま、衝動のままに発言する私。


「ちゅーしたい」


 すると


「帰るときね。今はダメ」


 却下された。うう……

 前に、ここで「夫婦なんだからちゅーくらい普通にしたって良いでしょ」って食い下がったら


「僕のスイッチがそれで入ったら、のぞみ、大学行けなくなるけどそれでもいいの?」


 って言われて。

 意味理解したら、興奮しすぎてゾクゾクしてしまった。


 ここで「大学行けなくなっても良い」って言ったらどうなるかな?

 ……まあ、呆れられる可能性あるから、絶対に言えないけど。

主人公は旦那を誘惑してみようかと考えている!

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