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第31話 愛があれば関係ないよね

中学生に告白された……

 ちょっと待って!

 落ち着かせて!


 今、ひょっとして私、真神くんに告白された!?


 しかも結婚前提で!?


 えっと……


 これ、大丈夫なのかな?


 確か、法律の講習会のとき、言われたよね?


「人間の作った法律は完全ではありません。必ず不備があります。そしてもし、そんな不備を見つけてしまったとき」


 不備に気づいた自分の知性に自惚れて、その不備を利用した実質的な違法行為を行うことを「賢い」などと誤解するのは、賢いとは言いません。


 それは「賢い」のではなく「知能が高い」と言うべきです。知能が高い獣である、と。


 ……そういうのが、法律に対する敬意なんだよね。




 そこを踏まえて。

 真神くんは結婚相手としてどうなんだ?


 ……冷静に考えてみよう……!


 私、17才。真神くんは多分13才。

 4才差。


 ……4才差って、別に結婚相手としては普通。

 変には思えない。

 20才と24才って別に、異常じゃ無いよね?


 それに……


 真神くん、精神年齢とても高いし。

 頭良いし。


 それに、趣味も合うし……


 あれ、あれれ?

 断る理由無くない?




 ……ここで……


 思い出したのは、また講習会の講師の言葉。


「昔は、若いときに散々遊び、若さが衰えてきたときに焦って結婚を望み、そこで……」


 条件を妥協せず、2人で頑張れば食べていけるような相手の求婚を悉く断って、結果結婚出来ずに貧困に落ちて地獄を見る事例があまりにも多かった。


 そこまで話をした後、講師はビデオ教材のドラマを流し始めた。


 内容はこういうものだった。

 結婚相手は絶対に20代で年収1000万円の男性のみ。

 その条件に合致しない男を全て捨ててきた女が、そのまま老後を迎え。

 孤独死を避けられなくなり、その死の瞬間、自分のやってきたことを全て他責して、泣きながら死んでいく。


 ……なんてみっともないんだろう。

 見てて、そう思った。


 こういうの、高望みって言うらしいんだけど。


 ……でさ。


 ここで真神くんの告白を断るの、それじゃないの?

 私さ、時間が無いんだよ?


 それを「たかが去年までランドセルを背負ってた」くらいで、ありえないとか言うこそありえなくない?


 私は頭を抱えて……


 しばらく考え……


 決めた。


 よし、犯ろう!


「ダメじゃない……です!」


 ちょっと、声が震えたけど。

 なんとか、私はそう真神くんに伝えることが出来た。


 すると真神くんは


 顔がパッと明るくなって、そして


「そっか……うん。ありがとう」


 その声に、恥ずかしさと、喜びがあった。

 その「喜び」を感じたとき。


 ……私はすっごいドキドキした。


 私、求められてるんだ……!


 こうして……

 私は去年までランドセルを背負ってた男の子と1年以内の結婚を前提として付き合うことになった。




『真神くんと交際することになった』


 帰宅後、メールを徹子に打ってみた。

 すると


『4月はもう過ぎたよ』


 そう返って来た。


『嘘じゃ無いから』


 打ち直す。

 すると


『アンタ、正気?』


 うっ


 脊髄反射で返信


『愛があれば年の差は関係ない』


『愛あるの?』


 ……いやあ、無いかもしれんけど。

 まだ。


 そうして私が返答に窮していると

 徹子から爆弾メールがあった。


『さすがにご両親に挨拶しに行かないとマズイんじゃない? 人として』


 だよね……

やってることは犯罪者

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