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短編とかその他

学校の屋上で月の光と踊る少女

作者: リィズ・ブランディシュカ



 くるくる。


 くるり。


 女の子が、踊っている。


 学校の、屋上で。


 僕はそれに見とれていた。


 夜の暗闇の中、しんとした空気が静謐な雰囲気を演出している。


 上から降り注ぐ月の光で、さらに神秘的。


 そのまま、数分間見入って、踊り終わった少女が話しかけてきた。


「こんなところに忍び込む人がほかにもいたのね」


 くすくすと笑われる。


 僕は天体観測をするために、ここにきた。


 他に良い場所がなかったから、仕方なく。


 すすんで非行少年になりにきたわけじゃない。


 父親が、宇宙飛行士だった。


 有名な人で。テレビにも出た。


 けれど、事故で僕が幼い頃に、帰らぬ人になった。


 星をみるのは、なくなった父の気配を探りたかったからだ。


 だから学校でも天体観測部に入った。


 終末には、部員達と出かけるヒビだ。


 僕は目の前の少女に個人的な話をする。


 幼い頃からのあれこれ、今考えていた事を。


 すると少女も話をしてくれた。


「私はダンサーになりたい。けれど、人前で踊る勇気がなくてね」


 彼女の親は有名なダンサーで、けれどだから外国にいってめったに帰ってこない。


 さびしいから、両親がおくってくれるダンスの公演のビデオをみて育った。


 ダンスをするのは、両親におもいをはせるため。


 僕達は似ているな、と思った。


 きっと気が合うに違いない。


 こんな月の綺麗な日に。


 出会ったのが、すこしおかしいけれど。


 だって、何かのまるで物語の始まりみたいだ。


 現実なんだから、ここから劇的な事なんてきっと、そうおこらないだろうに。


 そろそろ寒くなってきたので、帰ると言ったら引き留められた。


「また、ここに来る?」

「気が向いたら」


 月が見降ろしてる中、素直になれないそんなセリフ。


 少女の事は気になってるけど、正直に話す仲では、まだなってないし。


 なんだかやっぱり物語みたいだな。


 二人でちょっとだけ笑ってから。


 僕達は別れた。



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