『神の愛し子』
ニノンの周りの様子を泉から見ていた神は笑った。
「はははははは!本当に人間達はニノンが俺とサンティユモンとブロンのお気に入りだと判断したらしいぞ!見ろ、サンティユモン!」
「ん?んー…へえ、中央教会ってこんなところなのか。無駄に豪華だな。ニノンに『神の愛し子』なんて称号を与えるのか。『妖精王の愛し子』も追加させたいな」
「近々ニノンを聖域に派遣するようだ、その時にニノンに直接言えよ」
「わかった」
「ぐるるるる…」
ホワイトドラゴンの言葉に神はますます笑う。
「はは、ブロンも『ホワイトドラゴンの愛し子』を追加させたいのか!ニノンに頼んでおかないとな!」
「ぐるるるる…」
神も妖精王もホワイトドラゴンも、ニノンに近いうちにまた会えると割とるんるん気分になっていた。
「というわけで、神様にお会いしに来たんですが聖域に入って大丈夫ですか?ホワイトドラゴン様」
「ぐるる」
こくりと頷くホワイトドラゴンに、馬車でわざわざ聖域まで来たニノンはホッとする。
「あの、神様。来ちゃいました」
そう言いながら聖域に入ってきたニノンを、神も妖精王も笑顔で出迎える。
「よくきたな、俺の愛し子さん?」
「もうご存知なんですね…」
「話が早いだろう?称号を授与するなら好きにするといい。定期的に聖域に来るのも、国が大きく動く時に確認に来るのも好きにしろ。それよりブロンだブロン。ブロンは称号に『ホワイトドラゴンの愛し子』も追加しろと言っているぞ」
「え、ホワイトドラゴン様?」
「ぐるるるる」
ホワイトドラゴンの満面の笑みに、ニノンは本気だと判断した。
「…とりあえず聖王猊下に言っておきます」
「ぐるるるる」
ご機嫌なホワイトドラゴンにニノンは苦笑する。
「ニノン、『妖精王の愛し子』も追加で」
「妖精王様まで」
困ったように笑うニノンだが、神や妖精王、ホワイトドラゴンからの寵愛に感謝も感じていた。
『神の愛し子』ニノン。その名はやがて歴史に刻まれることになる。神の声を中央教会や、時には民草にまで送り届け、国に大きく貢献した偉人。そして、多くの人々を愛し多くの人々から愛された幸せな生涯を送ったことでも有名だ。彼女の尽力があったからこそ、国はさらに栄え発展した。今では彼女も信仰の象徴となっている。




