褒美に何が欲しいか聞かれる
「して、ニノン。今回はまた良くやってくれた。まずは礼を言うのじゃ」
「わしからもお礼を言わせてくれ。これでますます神に仕える者として、神の威光を人々に伝えられるぞい」
「いえいえ、そんな!」
「急拵えではあるが、ニノンのために表彰状と感謝状を書いた。近うよれ。受け取るが良い」
「ありがとうございます、聖王猊下!」
聖王から表彰状と感謝状を贈呈されるニノン。
「私もニノンのために直筆で表彰状と感謝状を書いたぞ!受け取るのじゃ!」
「はい、女帝陛下!ありがとうございます!」
女帝からも表彰状と感謝状を贈呈される。
「で、私も聖王猊下もニノンに褒美を与えたいと思っているんじゃが、希望はあるか?」
「え?いえいえそんな!」
「聖域に招かれ、神様と対話して、我ら信仰に生きる者にとって有益な情報をもたらしたのじゃ。礼をせぬわけにはいかぬ。どうか何かしら受け取ってくれ」
聖王にそう言われてはニノンは反論もできない。
「ううん…じゃあとりあえず今は保留で、欲しいものが決まったらおねだりしてもいいですか?」
「もちろんそれでもよい。今おねだりされても、今すぐ用意できるとは限らないからのう」
「おねだりしてもらえるのを、楽しみに待っておるぞい」
そして女帝と聖王は馬車で帰る。すると今度は、ファルマンが迎えてくれた。
「おかえり、ニノン」
「ただいま、パパ」
ぎゅうぎゅうと抱きしめられて、やはりファルマンも不安だったのだと知るニノン。ニノンは子供なのであまり力はないが、ぎゅうぎゅうと抱きしめ返す。
「お前が無事で本当に良かった」
「うん。ありがとう、パパ」
「一緒に夕食を食べよう。師匠達も待っている」
「うん!」
ニノンが食堂へ行くと、オノレとユベールがニノンに思いっきり抱きついた。
「ニノンー!おかえりー!」
「無事だね!?どこも怪我はしてないね!?おかえりー!!!」
「ただいま、二人とも!」
そんな子供達三人の様子を見て微笑ましげなガエルも、ニノンに声をかける。
「おかえり、ニノン。楽しかったかい?」
「はい!色々ありましたけど最終的には楽しかったです!」
「それなら結構。さあ、食事にしよう?そして話をたくさん聞かせておくれ」
「はい!」
ニノンはみんなで食べながら、聖域で起こったことを神の評判が落ちない程度に語った。
「なるほどねぇ。優しく寛容な人間を愛する神様と伝わっているけれど、そんな厳しい試練も与えるんだね」
「ニノンが無事で良かった」
ガエルとファルマンはニノンが聖域の泉の奥深くでそんな目に遭いながらも無事であったことを心底感謝した。
オノレとユベールはニノンの心の傷を知り改めてニノンを大切にしなければと決意した。




