猫を愛でる
「ママン、おいで」
「にゃー」
ニノンの命名により、ママンという身もふたもない名前をもらった例の母猫。彼女は素直にニノンに近寄る。
「ブラッシングしてあげる!」
「にゃー」
ちなみにママン、先日無事避妊手術が済んだ。子猫達は目が開き、カリカリフードを食べられるまでに成長している。
「ブラッシング、気持ちいい?」
「にゃう」
気持ちよさそうに目を細めて身をまかせるのが返事代わりである。
「子猫達にもいつか、触らせてね」
「…」
都合の悪いことにはだんまり。ママンはわかりやすい性格であった。
「ママンは、ニノン様にすら子供達は触らせたくないようですね」
くすくすとローズが笑う。ニノンも同じくくすくすと笑った。
「心配性だね、ママン」
笑われているのが伝わり、ママンは一言「んわぁ!」と不満そうに鳴くと子供達の元へ戻った。すっかり歩けるようになった子供達は自由に過ごしていたが、ママンに甘えるようにワラワラ集まって順番に毛づくろいされていた。
「幸せだね、ローズ」
「幸せですね、お嬢様」
温かな幸せが、ここにあった。




