また来る約束をして帰る
「では、帰りますね。ホワイトドラゴン様、よろしくお願いします」
「ぐるる」
ニノンは神と妖精王に帰宅することを告げる。
「もう帰るのか?もう少しくらい遊んでいけばいい」
「暗くなってしまいますから」
「ブロンは夜目も効く」
食い下がる神にニノンは少し困りつつも、それだけ仲良くなれたのかなと思い嬉しくなる。
「また呼んでくだされば会いに来ますから」
「…」
「父やお師匠様、お友達も待っているんです」
「…また呼ぶ。必ず来い」
「はい、約束です」
ニノンがにっこり笑って約束すれば、神も頷いた。
「ブロン、ニノンを落っことすなよ」
「ぐるる」
「気をつけて帰れ」
「はい、神様」
「クリニョタン、ちゃんとニノンを見送れて偉いな」
神の頭を撫でる妖精王。神はそんな妖精王を睨みつける。
「バカにするな」
「してないぞ。褒めてる」
「ムカつく」
「そうか」
イラッとしたのだろう。神はその場から少し距離を取る。妖精王から離れたところでニノンを見送ることにしたらしい。
「ニノン、元気でな。また会えるのを楽しみにしている」
「ありがとうございます、妖精王様。私も楽しみにしていますね」
「ああ。さあ、そろそろ帰らないと親も心配するだろう」
「あ、そうですね。それでは、神様、妖精王様。また今度」
「はいはい」
神がひらひらと手を振る。ニノンはホワイトドラゴンに手を差し出され、そこに乗った。そしてホワイトドラゴンに優しく運ばれる。
「ホワイトドラゴン様。今日はとっても楽しかったです!運んでくださってありがとうございました」
「ぐるる」
ホワイトドラゴンは、色々あったのに楽しかったの一言で片付けるニノンに対して少しびっくりする。無意識の自分と無理に会わされて、それを楽しい見世物扱いされたのに。改めて強い子だと驚かされた。
「ホワイトドラゴン様は、神様のことは好きですか?」
「ぐるる」
ホワイトドラゴンは、伝わるかはわからないものの本音を言う。
『気まぐれで性格のひん曲がっているクソ野朗だと思っている。けれど最初の頃の純粋で無垢なクリニョタンも知っているし、結局根っこは変わっていないのも知っている。だから、好きか嫌いかなら好き。それに、僕が生まれたのはクリニョタンの涙からだから感謝もしているし』
ホワイトドラゴンの言葉は、もちろんニノンには通じない。けれど、ニノンはなんとなくホワイトドラゴンが神を好きだと言っているように思えて頷いた。
「やっぱり大好きですよね!私も今日、信仰の対象としてではなく一柱の等身大の神様が大好きになりました!」
そんなニノンに、ホワイトドラゴンはこの純粋な子はこのまま育って幸せになって欲しいと心から願った。




