表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【長編版】公爵閣下のご息女は、華麗に変身する  作者: 下菊みこと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/87

無意識に沈む

ニノンは目を開ける。たしかに、神の言う通り泉の中は聖なる湧き水の中と同様に息ができる。目を開けて頭が浸かるまで深く入っても特に異常もなく、身体の疲れも癒えるようだ。そして、浸かっていると段々と眠くなってくるような気さえする。まるで、無意識に溶けていくような…。


「ぐるる!」


そこまで考えて、ホワイトドラゴンの唸り声に目を覚ました。泉の中でも聞こえるのだなと呑気に思いながら、ニノンは泉の奥を目指す。


「…ブロン。無意識の泉に溶けないように、ニノンを助けたのか?」


「ぐるる」


「ニノンの意識が溶けて消えたら、俺の望んだものも見られないだろうって?…ははっ。そりゃそうだが、そのくらいの難関あの子なら突破したんじゃないか?この短時間で随分と過保護になったものだな、ブロン。見ていて思ったが、あの子の周りはみんなそうだな。貧しい孤児院時代の仲間でさえそうだ。…ニノンの何が、人をそんなに虜にするんだろうな?」


「ぐるる」


「ああ、はいはい。ブロンは人じゃなくホワイトドラゴンだもんな。わかってるよ。ちょっとした言葉の綾だろう」


ニノンには、神とホワイトドラゴンの言葉は届かなかった。


「奥へ、奥へ」


ニノンは神の言葉に従い奥を目指す。泉は最初、聖なる湧き水と同じでとても気持ちが和らいだ。しかし、奥へ進めば進むほど何故か恐怖が心を支配する。これ以上進むのは危険だと頭が警笛を鳴らす。しかし、神に逆らう選択肢などない。


「…奥へ、奥へ」


ニノンは自分を励ますように、ただ神の命令を口にする。何もない。ただ、暗闇が続くばかり。けれど、それがとても恐ろしいように思えた。


「…奥に行って、何があるんだろう。出会いってなんだろう」


ニノンは神の言葉を思い出して、気になった。そんなニノンの疑問はすぐに晴れる。


「…あれ?誰かいる」


泉のさらに奥、誰かの姿を見つけた。これがきっと、神の言う出会いだとすぐにわかった。これこそが、神の目的なのだ。けれどニノンは、足がすくむ。本能的に、ダメだと思った。アレは、見たくないと。


「…なんで、そんな風に思うんだろう。誰かもまだわからないのに」


ニノンは、すくむ足を無理矢理動かした。奥へ奥へ進む。誰かわからない、その人を目指して。そして、近付いて気付いた。アレは…。


「…私?」


そう。自分自身だった。


「そうだよ」


自分自身が振り向いた。その姿は、孤児院時代のみすぼらしい自分自身。


「ねえ、今どんな気分?」


無意識の底で出会った自分自身は、随分と敵意の高い目を向けてきた。ニノンは、思わず身体を竦ませてた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ