付けてみる
「聖女様!眼鏡型マジックアイテムをお持ちしました!つけてみてください!」
「ニノン様!ありがとう!」
聖女は早速眼鏡型マジックアイテムを着けてみる。
「…!」
「どうですか?」
「見える!見えるよ!」
聖女は飛び跳ねて喜ぶ。それをみて、ニノンは聖女に抱きついた。
「聖女様、本当に良かった!」
「ニノン様のおかげです!本当にありがとう!」
二人できつく抱きしめ合う。
「じゃあ早速ですが、私のお気に入りのファンタジー小説をお持ちしたので一緒に読みましょう!」
「はい!」
聖女はニノンとワイワイ騒ぎながら小説を読む。楽しい時間は、あっという間に過ぎた。
「ニノン様、今日は本当にありがとう。このご恩は忘れないわ」
「聖女様のお役に立てて良かったです!」
「これでようやく、聖王猊下の目を見てお礼を言えるし。ニノン様には感謝ばかりね」
「ふふ、そんな風に言ってもらえて嬉しいです」
「じゃあ、気をつけて帰ってね」
手を振る聖女に、ニノンは手を振り返す
「また機会があれば!」
「ええ。楽しみにしているわ」
こうしてニノンは、今度こそ屋敷に帰った。
「ニノン、おかえり」
「ただいま、パパ」
「聖女を助けるために延期していたおやつパーティーだが、早速今からやろう」
「わーい!」
ということで、屋敷に帰ってから唐突におやつパーティーが始まった。
「フォンダンショコラにチーズケーキ、モンブランにチョコレートケーキ、苺のケーキにプリンにシュークリーム、他にもまだまだたくさんあるぞ。あまりは使用人達に分けるから、心配はいらない。好きなだけ食べなさい」
「パパ、ありがとう!大好き!」
抱きついてくるニノンを抱きしめ返して、頬にキスをするファルマン。そんなファルマンにガエルが声をかける。
「いやぁ、僕達も参加させてもらって悪いね」
「師匠も甘いものがお好きでしょう。ご遠慮なくどうぞ」
「わ、私も参加して良いのかな」
「サラ殿下とご一緒できて、私は嬉しいです!」
「ニノンちゃん…ありがとう!一緒に食べよう!」
「はい!」
サラは遠慮していたが、ニノンの言葉に考え直しおやつを一緒に楽しむことにした。
「うわ、これうま」
「こっちも美味しいぜ」
オノレとユベールは何の気なしにおやつパーティーを楽しんでいる。負けじとニノンとサラもモリモリ食べた。
「ふわー。甘いものを一生分食べたよー。これからも食べるけど」
「あはは。たしかに一生分かも」
「食べた分魔法の鍛錬に勤しんで消費しないとなー」
「ふふ、私も頑張って鍛錬しますね」
ニノンとサラ、オノレとユベールは大満足、といった感じである。
「いやー、美味しかった美味しかった」
「師匠も結構食べましたね」
「そういうファルマンこそ」
ファルマンとガエルもそこそこの量を食べ、満足した様子だ。
「聖女様、今頃見えるようになって小説を楽しんでくれているといいなぁ」
ニノンはただ祈る。聖女に思いは届いているだろうか。




