キメラ作製の犯人
突然現れた少年。彼は唐突に自己紹介をする。
「初めまして、僕はアルスラーンと申します。こちらは僕と契約している悪魔のアリアです」
「先程は私の生み出したキメラが、大変失礼を致しました。私の身体は、キメラを生み出してしまう体質なのです」
あまりの急展開にぽかんとするニノンとサラ。オノレとユベールはアルスラーンとアリアを警戒して構える。唯一平然としているガエルはアルスラーンとアリアに聞いた。
「つまり、今回のキメラ騒動は君達のせいな訳だねぇ…なにか釈明したい?」
「体質上こうなってしまっただけで、決して人間に不利益を与えたいわけじゃないのです」
「そもそも悪魔との契約はご法度だけど?」
「それに関しては、言い訳のしようもないです」
「なんで今更、僕達に名乗り出たの?」
アルスラーンとアリアは顔を見合わせて答える。
「…さすがに、子供が犠牲になりそうなのを目にしてしまったので」
「良心の呵責に耐えきれなかったと」
「はい」
「随分身勝手だねぇ…」
呆れた表情のガエルに、アルスラーンとアリアは俯いてしまった。
「まあ、今回のキメラ騒動では怪我人は出ているけれど死者はいない。怪我人も、身体を欠損したりはしていないようだしまだマシだけどね。傷跡やトラウマは心配だけど」
ガエルの死者はいないという言葉にホッと胸を撫で下ろすアルスラーンとアリア。
「本当に申し訳ないと心から思っているのです。それでも、僕にはもうアリアしかいない。アリアを失うことはできない。だが、彼女の体質もどうしようもない」
「悪魔にはそれぞれ厄介な特性があるからねぇ。君の場合は自分の意思に関係なくキメラを生み出してしまうことな訳だ?」
「はい…」
アルスラーンとアリアは本当に申し訳なさそうに俯いている。
「あの…」
アルスラーンとアリアの様子を見て、悪い人ではないと判断したニノンがおずおずと手を挙げる。
「どうしました?お嬢さん」
アルスラーンが問えば、ニノンは疑問を口にした。
「なんでアルスラーンさんのアリアさんは、こうなるのがわかっていて契約したの?」
「それは…」
アルスラーンは少し迷ってから、口を開いた。
「多少、長話になりますが。聞いていただけますか?」
「うん」
アルスラーンは、アリアとの出会いを語り出す。




