お師匠様はやっぱり強い
ドスン、と倒れた超大型キメラ。目をパチパチとさせるのはニノンとサラ。ユベールとオノレは、その背中に氷魔法で作った氷柱が深く刺さっているのを確認した。
「よし、これでキメラも絶命したね」
なんてことないように言うガエルに、ニノンとサラは口を開けて呆けたまま釘付けになる。
「…師匠!驚かさないでくださいよ!」
「こんなことができるならもっと早くしてくださいよ!」
「いやぁ。この程度でびびっているお前達が可愛くてつい」
抗議するユベールとオノレの頭を撫でるガエル。
「子供扱いしないでください!」
「本当に怖かったんですから!」
「でも、全属性の上級魔法が使えるお前達なら普通に勝てたと思うけど」
「いやいやいや」
「実戦経験の浅い人間に無茶言わないでくださいよ」
あまりにも平然としているガエルに不服そうなオノレとユベール。いつもと変わらないやり取りに、ニノンとサラはようやく息を吐いた。
「「こ、怖かったぁー!!!」」
緊張が解けた瞬間、ニノンとサラは抱き合って地べたに座り込んだ。
「サラ殿下が無事で良かったぁー!」
「ニノンちゃんこそ無事で良かったよぉー!」
必死でお互いの身体をぎゅっと抱き寄せながら、わんわん泣いて無事を確かめ合う二人にオノレとユベールは頭を撫でる。
「もう大丈夫だ。怖かったな」
「助かったんだから、そんなに泣かないの。よしよし」
ガエルはそんな愛弟子達の様子に、やはりまだまだ子供だなと微笑ましく思う。同時に、少し怖がらせ過ぎたと反省した。もっと早く仕留めることもできたが、これも経験だと襲われるギリギリまで魔法を発動させなかったからである。
「あー…トラウマにはなってない?大丈夫?」
「「トラウマになるかは知らないですけど、怖かったです!!!」」
ニノンとサラは声を揃えて叫ぶ。叫ぶ元気があればまだ大丈夫かと思いつつ、ガエルはニノンとサラに光の超級魔法を使った。ニノンとサラは暖かな光に包まれて、自然と心が安らいだ。
「綺麗な光…」
「お師匠様、これはなんですか?」
「光の超級魔法の一つさ。安らぎをもたらす光を浴びる魔法だね。まあ、精神に作用する魔法なんてこれくらいしかないし気休め程度だけど」
「ありがとうございます、お師匠様」
「お師匠様がいてくれて本当に良かった。本当にありがとうございます」
落ち着きを取り戻した二人はガエルにお礼を言う。
「いやぁ。怖がらせ過ぎたからね。反省反省…おっと、穏やかじゃないお客様が来るね」
「え?」
ガエルが呟くと同時に、一人の少年と一匹の悪魔が現れた。




