新しいお友達の母
「この度は娘を助けてくださり、ありがとうございました」
「心からお礼申し上げます」
タバサの紹介で、タバサの両親と顔を合わせるニノン達。
「お父さんとお母さんは、商人さんなんだよ!みんなに必要としているものを売るのがお仕事なの!」
「そっか!すごいね!」
「うん!」
タバサは両親を自慢するが、タバサの両親としては冷や汗ものだ。タバサから紹介されてすぐニノンとガエルに気付いた彼ら。領主であるファルマンの娘と、三愚者の一人であるガエル、ガエルの弟子達が一斉に揃って娘を助けてくれたというのは、もちろん有難いが申し訳なさの方が勝つ。
「それで、お礼なのですが…」
「こちらを受け取っていただけますか?」
タバサの両親から渡されたのは錬金術に使う大きな釜やすり鉢などの新品セット。
「くれるの?ありがとう!」
屈託無く笑うニノンに、ホッと胸を撫で下ろすタバサの両親。
「ちょうど新しいのが欲しかったんだよね」
「ありがとうございます」
ユベールとオノレも気に入ったらしい。
「私の初めての錬金術に、こんな良いものを使えるんだ…!」
サラはすごく感動していた。
「うんうん、素敵なプレゼントをどうもありがとう。ちょうど今日買いに行く予定だったから、手間が省けたよ」
ガエルもご満悦である。
「錬金術セット使うの?なら、ママを元気にするお薬作って!」
「た、タバサ。助けてもらったんだからおねだりしちゃダメよ?」
「だってママ、いつもご飯はフルーツだけだし、普段はベッドの上だし。もっと元気になって欲しいよ!」
「タバサ…」
タバサの母は困ったように眉を下げる。
「訳ありかな?」
「タバサの母…私の妻のルナは、去年に病気で倒れまして。今年にやっと病気を克服できたのですが、今度は闘病中に擦り減らした体力がなかなか回復しなくて。筋肉が衰えて食事もあまり摂れないのです」
「なるほど。その症状はポーションや魔法でもどうしようも無さそうだね。良くなりたいなら無理してでも食べて、歩いて少しでも筋力と体力をつけないと」
「そうなのですが…」
ニノンがガエルに手を挙げる。
「どうしたの?ニノン」
「これも勉強ってことで、ルナさんの筋力と体力と食欲を取り戻すお手伝いがしたいです!」
「わ、私もやりたいです!」
サラも手を挙げる。
「お前たちは?」
「ぜひやりましょう」
「異議なーし」
ということで、タバサ達一家がニノンの提案にぽかんとしている間にルナの体力回復計画がスタートした。我に帰ったルナが遠慮するも、子供達の勉強に付き合って欲しいとガエルに押し切られてしまった。




