彼女のぬいぐるみを探す
「こらー!」
ニノンはいじめられている女の子を助けに入る。
「なんだお前!邪魔するな!」
「いじめはダメー!」
ニノンがそう叫ぶが聞く耳を持たない少年達。しかし遅れてやってきたオノレとユベール、サラとガエルを見て不利だと判断すると逃げ帰っていく。
「大丈夫だった?」
「うん…でも、お母さんがせっかく作ってくれたクマさんがどこかに隠されちゃったの」
「…そっか。じゃあ、一緒に探そう!」
「いいの?」
「うん!」
ニノンはそう言うとガエルを振り返る。ガエルは笑顔で頷いた。
「…それ!」
光の中級魔法で探し物…クマのぬいぐるみを探知するニノン。光の魔法の指し示す先に向かえば、クマのぬいぐるみはあっさりと見つかった。
「…わあ!すごい、私が一生懸命探しても見つからなかったのに!」
「えへへ。見つかってよかったね!」
「うん、ありがとう!」
女の子はクマのぬいぐるみを抱きしめてお礼を言う。しかし白いクマのぬいぐるみは汚れてぼろぼろにされていた。
「でも、汚れてるけどいいの?」
ユベールがそう問えば、女の子はこくりと頷いた。
「見つかっただけで充分」
「ふーん…」
ユベールは女の子を助けてやれとオノレに目配せする。オノレは心得たとばかりに頷いて、サラに言う。
「サラ。光の中級魔法の練習に、このぬいぐるみを綺麗にしてみようか」
「わかりました!」
サラは光の中級魔法でクマのぬいぐるみを新品同様の状態に戻す。いじめを受けて少し怪我をして汚れていた女の子自身も怪我が治り、服の汚れも落ちた。
「クマちゃん!…本当にありがとう!」
女の子は跳ねて喜んだ。
「お礼したいから、お家来る?」
「ええっと…私達がお邪魔していいのかな?」
「もちろん!あ、私タバサ!みんなは?」
「私はニノン。仲良くしてね」
「私はサラ。タバサちゃんとお友達になりたいな」
女の子…タバサはにっこり笑う。
「ニノンちゃんとサラちゃん!私の新しいお友達だね!お兄ちゃん達は?」
「オノレだよ、よろしくな」
「ユベール。よろしく」
「ガエルだよ。親御さんに挨拶ついでに送って行こうか。このまま帰らせてまたいじめられたら嫌だし」
「お家来るの?わーい!」
ということで、ニノン達はタバサの家に行くことになった。タバサの家に着くと、なかなか大きな商会の奥に通される。そしてタバサの案内で応接間に通されて、タバサの両親と対面することになった。




