皇女の成長
サラも無事ガエルの弟子になり、ガエルの転移魔法で毎日サラが公爵家に来て魔法をオノレとユベール、ニノンから教わるようになった。
「これからお世話になります、サラ・セゴレーヌ・メザリンドです…あの、よろしくお願いします…!」
「オノレです、よろしくお願いします」
「ユベールです、よろしくお願いします」
「改めまして、僕はガエル。今日からサラ、君の魔法のお師匠様だ。よろしくね」
「はい…!」
まずは魔力の発現からだったが、繊細なサラならこれで充分ショックを受けるだろうとガエルがびっくり箱を用意した。サラは箱を開けてびっくりし過ぎて無事魔力を発現したがしばらく「箱」がトラウマになったのでガエルはニノンからこっ酷く怒られた。
「これは、箱ですか?」
「開けてごらん」
「はい…ひぇっ!?」
「よし、魔力の発現はクリアだね」
「お師匠様、サラ殿下怖くて泣いてる!謝りなさい!」
「えー…ごめん」
だがその分サラも得るものはあった。サラの発現した魔力はなかなかの高純度で、魔力量も同年代の子供たちと比べてかなり多い。オノレとユベールにも負けず劣らずだ。ニノンは純度も量も普通なので、サラを褒めちぎった。ニノンは無自覚だが、ニノンのサラをすぐ褒める姿勢はサラに少しずつ自信を植え付けていた。
「サラ殿下すごいです!魔法を使う上で、魔力の純度は大事なんですよ!特に超級魔法とかは魔力の純度によって消費魔力が変わるから、魔法を使う上ですごく有利です!しかも魔力量も多いなら、超級魔法連発できますね!すごいなぁ、いいなぁ」
「そ、そうかな。そうなんだ?えへへ。ニノンちゃん、ありがとう」
「ありがとうってなにがですか?」
「その、褒めてくれて」
「それはサラ殿下がすごいからですよー!サラ殿下がお礼を言うことじゃないです」
「…ニノンちゃん、大好き」
「私もサラ殿下が大好きです!」
さらにサラはなかなか魔法を理解するのが早く、ニノン程ではないがかなりのスピードで魔法をマスターしていく。そのこともサラの自信に繋がる。優しすぎるのも真面目すぎるのも繊細すぎるのもそのままだが、自分に自信がつくと引っ込み思案は少し改善された。女帝は大いに喜んだ。この頃には箱へのトラウマも自然と落ち着いたので女帝はガエルに相当感謝した。
「もっと早く師匠に頼めば良かったかのう?」
「ニノンの妹弟子になったからこその成長さ。ちょうどいい時期だったんだよ」
「そうかのう?まあ、師匠がそういうならこれで良かったんじゃな」
女帝は、一人の母として娘の成長を心から喜んだ。




