お友達との交流
「サラ殿下はどんな遊びが好きですか?」
中庭に来たニノンは、手を繋いでいるサラにそう声をかける。サラはちょっと困ったように笑う。
「私、あんまりお友達と遊んだりしないから…」
「じゃあ、とりあえずおままごとしましょうか!」
「おままごと?」
ニノンは孤児院でよく遊んだおままごとをサラに説明する。
「んーと、配役を決めて、なりきるんですよ。台本も何もない舞台みたいなものです」
「ええ?私に出来るかな」
「出来ますよ!やってみませんか?」
「う、うん!」
ニノンの言葉にサラも頷く。
「じゃあ、私は…グレた子供役にします!」
「ぐ、グレた子供…?じゃあ、私はお母さん役?上手に出来るかな…」
「じゃあさっそくやってみましょう!」
「う、うん!」
「あー、楽しかった!」
ニノンはおままごとが終わるとやり切ったとばかりに楽しそうに笑った。つられてサラも笑う。
「うん、楽しかった!」
サラのとびきりの笑顔に、ニノンはさらにキラキラと目を輝かせた。
「ですよね、サラ殿下!でもおままごと、本当に初めてでしたか?すごくお上手でしたけど」
「は、初めてだよ。でも、上手く出来て良かった。…少しだけ、自分に自信がついたよ」
「はい!サラ殿下はとってもおままごとがお上手でした!ぜひ自信を持ってください!」
「ふふ、ありがとう」
「おままごとがお上手ってことは、アドリブ力があって頭の回転が速いってことですから!サラ殿下はきっと、素敵な君主様になりますよ!」
ニノンの言葉にサラは目を見開いた。
「そ、そうかな」
「そうですよ!サラ殿下の将来が今から楽しみです!」
「ふふ、ニノンちゃんおじ様みたいなこと言ってる。でも、そうだね。ニノンちゃんの言葉は、お世辞とかじゃなくて本音なのはわかるよ。ニノンちゃん、ありがとう。私、もっと自信をつけて立派な君主を目指して頑張るよ!」
「うん!」
「…やはり、ニノンに任せて正解じゃったの」
「うちの子は、サラ殿下の良い刺激になりましたね」
「そもそも、元々同年代の子供達との関わりが少なすぎるんだよ。なんとかならないの?」
「そうは言っても、サラが将来苦労せずに済むよう今から勉強するのは大切じゃろう?師匠」
「それは否定しないけど、詰め込み教育もどうかと思うなぁ。こう、子供同士で教えあいっこするようなお勉強の仕方とかも考えたら?」
ガエルの言葉に女帝は頷く。
「師匠式の勉強法か。それなら是非ニノンに任せたいのう?のう、ファルマン」
「…はぁ。師匠、焚きつけたのはそちらなので師匠に任せていいですか?」
「いいよー。ついでだしサラも僕の弟子にしない?それで毎日僕の転移魔法を使って行き来して、兄弟子姉弟子に魔法とその他の知識も教わればいいよ。うちのはなかなか捻くれてるけど、ニノンの大切なお友達なら丁重に扱うだろうし」
「んー…師匠に頼みたいのはやまやまなんじゃが、うるさいジジイ達を黙らせるのが面倒じゃあ。ファルマン、助けてくれぇ」
「…はいはい。貴族の説得は私がしますよ」
ということで、今後は毎日サラとお勉強することが決まった。




