女帝の娘
「ニノン、活躍は聞いておるぞ。不法移民達を助けたことでホワイトドラゴン様の怒りを鎮めたそうじゃな」
「はい!」
「さらにそのために、空き家と耕作放棄地を活用して領内の食料自給率を向上させた。うむ、あっぱれじゃ!」
「えへへ、ありがとうございます!」
女帝はニノンにニコニコ話す。
「そなたは発想が面白い。他にも、難民認定された者達と領民達の溝を埋めるため料理教室を開いたそうじゃの。本当に面白いのう」
「みんなで作って一緒に食べたら、美味しいよ!」
「そうじゃのう、そうじゃのう。頭は柔軟で、それでいて心は綺麗ときた。むー、少し羨ましいのう」
「女帝陛下も素敵です!とってもとっても綺麗だもん!」
「なんじゃあお世辞も上手じゃのう!愛い奴め!」
素直なニノンに女帝は心を掴まれる。
「それとあとは、瘴気を晴らして開拓を進めたとか。それで難民達に土地をくれてやったそうじゃの。それによりますます領内の食料自給率を上げて、また難民達に恩も売った。私としても難民達を気にかけていたので助かったぞ」
「ふふ、お役に立ててよかったです!」
「うんうん。本当に良い子じゃのう。そんなニノンに一つお願いがあるんじゃあ」
「なんですか?」
ニノンが聞けば、女帝はニッコリと笑う。
「うちの娘、将来の女帝と友達になって欲しいんじゃあ」
「…皇女様と?」
「そうじゃあ。皇宮に来る機会なんぞなかなかないじゃろうから、本当にたまに遊んでやってくれるだけでいいんじゃがの。どうじゃ?」
「是非!」
ニノンはまだ、メザリンド帝国では友達が少ない。というか、メザリンド帝国でのお友達はオノレとユベール、猫達くらいである。なので喜んで引き受けた。
「だそうじゃ!サラ、おいで」
女帝に呼ばれて皇女であるサラがおずおずとやって来る。
「えっと…あの」
「お初にお目にかかります!ニノン・ロール・ウジェーヌです!皇女様とお友達になりたいです!よろしくお願いします!」
「う、うん。私はサラ・セゴレーヌ・メザリンド。よろしくね」
「はい!」
サラはやや押され気味だが、ニノンと仲良くできそうだと女帝は判断した。サラは将来の女帝としては、少し優しすぎて真面目すぎて繊細すぎる。今回のニノンへのお願いは、サラがあまり友達を作れる環境にいないため、少しずつでもこうした交流で成長して欲しいという親心だ。単にニノンへの興味もあるが。
「では、子供達や。中庭で遊んでおいで」
「はーい!行きましょう、サラ殿下!」
「う、うん。ニノンちゃん、走ると危ないから手を繋いで歩いて行こう」
同じ年頃の二人だが、精神年齢はサラの方が上かもしれない。




