女帝との初対面
今日は貴族会議が開かれる。ファルマンは約束通り、女帝とニノンを会わせることにした。ニノンに説明をして皇宮に連れてくる。貴族会議の最中は、ニノンを皇宮の中庭で待たせる。
「オノレもユベールもいないからつまんない」
「おや、僕だけでは不満かな?」
「そうじゃないですけど…いっつも一緒だったから」
「そうだねぇ」
オノレとユベールは屋敷でお留守番だ。ガエルは貴族会議中ニノンが一人にならないよう、また魔法の弟子である女帝と久々に会えるようついてきた。
「でも中庭のお花可愛いですね、お師匠様」
「そうだねぇ…レーヌは白い薔薇が特にお気に入りだったから。今でもそうなのかな?よく手入れされているね」
懐かしそうに目を細めるガエル。別に会おうと思えばいつでも会えるのだが、特に理由もないため控えているのだ。ガエルはなかなか会えない弟子に会えるのを楽しみにしていた。
「ニノン、師匠」
そこにファルマンが帰ってくる。
「おや、随分と遅かったね」
「お待たせしました。辺境の連中がなかなかうるさくて」
「…仲良くないの?」
「喧嘩になるほどじゃないから心配いらない。中央と辺境では立場も違うしどうしてもな。さあ、女帝陛下に会いに行こう」
「うん!」
ニノンはファルマンとガエルの真ん中に入り二人と手を繋ぐ。ファルマンもガエルも無邪気なニノンに癒されつつ、謁見室に向かった。
「面をあげよ。楽にしてよい」
女帝の言葉に、ファルマンとニノンは顔を上げて立ち上がる。ガエルは顔を上げるどころかそもそも最初から跪いてもいない。ガエルは〝三愚者〟の名を冠する魔法使いなので、女帝に対してもそこまで畏る必要はなかった。加えて女帝の師匠でもあるため、女帝に対しても態度は大きい。
「師匠、お久しぶりじゃの」
「久しぶりだねぇ、レーヌ。会いたかったよ」
「私としては師匠にもうちょっと遊びに来て欲しいんじゃがの」
「だって、そんなことしたら僕を政治利用しようとするカスが出てくるじゃん。そっちこそ遊びにおいでよ」
「女帝も忙しいんじゃあ」
久しぶりに会う恩師に、女帝は満面の笑み。ガエルの方も、女帝が可愛くて仕方がないようでニッコニコである。
「ファルマン、よう娘さんを連れてきてくれたのう」
「約束ですから」
「そうかそうか。…さて。娘さんや、私はレーヌ・セゴレーヌ・メザリンド。このメザリンド帝国の女帝じゃ。よろしくのう」
「お初にお目にかかります!ニノン・ロール・ウジェーヌです!」
「おお!よい返事じゃあ!良い子じゃのう」
女帝の前でも怯まないニノンに、女帝はうんうんと頷いた。




