第六章 立ち上がれ三代目! 真のカレー力に気づくとき-4
駅の改札口から出た真咲良と新輝は、その後スーパーに立ち寄り、改めて食材を買いそろえた。
そうしているうちに、ジャンキーカリーから新輝のスマートフォンに、連絡が入った。
カレー対決は3日後、つまり真咲良たちが東京に滞在する最終日に決まったとのことだった。
「うわ~。対決日、本当に日程がギリギリだね」
「その分、ギリギリまでカレーの調整ができると思えばいいじゃんか」
新輝と真咲良は、そうしゃべりながら家路についていた。
* * *
太陽がゆるやかに傾き始めた昼下がり。
真咲良と新輝は、カレー作りの試行錯誤を始めた。
今までと同じようにカレーペーストを作った一方、スパイスの配合率を変え、それらを寸胴鍋で煮込んでいた。
そんな寸胴鍋を、二人はじっと見つめ続けていた。
「そろそろ、かな」
真咲良はおたまでカレールウをすくい、あらかじめ食器棚から取り出していた小皿についで、一口すすった。
「うーん……」
眉間にしわを寄せながら、彼女はルウを味わっていた。
「姉ちゃん、僕も」
真咲良から小皿をもらった新輝は、彼女が口をつけた部分の反対側から、残りのルウを一気にすすった。
しばらく味わっていくにつれ、彼の顔も真咲良と同じく、眉間にしわを寄せて難しい顔をした。
「この前よりも、味は良くなってると思うんだけどなあ。姉ちゃんはどう?」
「新輝の言うとおり、昨日の対決の時より良くなってる気がするけど……」
二人は、自分たちの作ったカレーをほめていたが、その表情は暗かった。
「なーんか、あとひと押し足りねぇんだよなあ」
真咲良は、ガシャンと、おたまを乱雑に寸胴鍋に投げ込んだ。
「味と技術だけじゃあ、あのマジックカレーも相当だもんね」
新輝は、髪をかき上げながらうなった。
「まだ改良を加えるとすれば、何をすれば……」
思い悩む真咲良の脳裏に、以前蕃のもとで特訓をしたときの、彼の言葉がよみがえってきた。
「カレー力とは、料理に思いを込める力のことだ。二人にとっては、その込める思いが楽しいという感情だった、ということだ」
真咲良は、その言葉の意味を、もう一度考え続けていた。
「思いを込める以外に、何が必要なのさ? カレー力には……!」
真咲良は、おたまで寸胴鍋のルウを攪拌しながら、むっとした顔で口走った。
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