第五章 舞台は東京へ! リベンジマッチの生んだ挫折-2
真咲良と新輝が、ガラムからのメールを受け取ってから、2日後の朝。
二人は、羽田空港第二ターミナル一階の、国内線到着ロビーにいた。
メールを確認したあと、修繕工事の工期をできるだけ早めてもらい、東京に来る時間を捻出したのだ。
「東京に来るのなんて、かなり久々だね。羽田空港もきれいになったんだねえ」
上はピンク色の半袖シャツにクリーム色のカーディガンを羽織り、下は黒いホットパンツ姿の真咲良は、到着ロビーをぐるりと見渡した。
興味津々にきょろきょろする様は、到着ロビーの中でかなり目立っていた。
「やめてよ姉ちゃん。田舎者みたいに見えるじゃないか」
新輝はげっそりした顔で、真咲良の横を歩いていた。
彼は、白いシャツの上から緑色のジャケットを羽織り、下は黒い綿パンという、落ち着いた格好をしていた。
「そう言うなって。新輝は2、3年前に修学旅行で東京行ってたけど、ウチの学校は行き先は大阪だったからさ」
真咲良は興奮気味で、新輝の指摘を全く気にしていなかった。
「姉ちゃんは元気だねえ……」
新輝は、大きくため息をついた。
「なんだよ、えらく元気ないじゃん」
真咲良ののんきな問いかけに、彼はムッとして、彼女の前に立ちはだかった。
「そりゃ、二人ぶんの荷物を両手と背中で抱えてたら、元気もなくなるよ! 一個くらいは姉ちゃんも持ってよ!」
このときの新輝は、両肩にそれぞれボストンバッグを抱え、さらに背中には大きなリュックを背負っていた。
一方の真咲良は、ロープでぐるぐる巻きにして固定した寸胴鍋を背中に背負っており、両手は空いた状態だった。
「何言ってんだよ、新輝。ウチはね、これを大切に持ち運ぶので忙しいんだよ」
親指で背後の寸胴鍋を指しながら、真顔で返す彼女に、新輝は頭を抱えてしまった。
「何が『大切に持ち運ぶので忙しい』だよ。その空いてる両手のどっちかで、荷物の1つくらい持てるじゃないか」
「ダメダメ! この寸胴鍋に何かあったらどうするのよ」
「そうは言うけどさ、おたまはこっちのボストンバッグに入れてるじゃん。それに、むき出しの寸胴鍋背負ってるおかげで、ほかの人からチラチラ見られまくりなの、気づいてないの?」
新輝の言葉を受けて、真咲良は周りをぐるっと見回した。
確かに、通りすがる人々が、背中に背負った寸胴鍋に目を丸くしたり、思わず二度見してからすれ違ったりしていた。
「……いや別に。ウチは全然、気にならないけど?」
真咲良は、ケロっとした顔をしており、新輝の話も周囲の視線もどこ吹く風という様子だった。
「わかった、もういいよ……」
そんな彼女を前にして、新輝はこれ以上何を言っても無駄だと判断し、会話を打ち切った。
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