息子が引きこもりなので家から追放しました。なのにどうしてこうなった!?
「出ていけぇ!!!」
息子の弘樹が大学を卒業して丸二年、就職もせず日がな机にかじりついてPCを弄ってるだけ。
月に数回外出することはあるが、聞けばゲームショップに行くのがほとんど。就職活動の「し」の字も「か」の字も出てきやしない。
また月に数回、友人を招いてはゲームのことを語り合っており、どうやら彼らも無職のようだ。
妻や同居している義両親はなにも言わず、このままではダメ人間になってしまう!
「仕事を見つけるまで帰ってくるなぁ!!」
リクルート一式と、財布と携帯だけ持たせて追い出してやった。
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「と、言うわけだ。」
昼食時に妻と義両親にこのことを説明した。
「きっと弘樹は仕事を見つけて真人間になって帰ってくるさ」
ところが三人から返ってきたのは深~いため息。
「ここまでだったとは」
「何度も説明したはずなんだけどな」
「離婚を本気で考えないと」
あれ?
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『とゆーわけで住所変わりました』
追い出された僕は不動産屋へ向かい、会社の近くのマンションを一室を購入した。
現在は仲間とRINE BUSINESSでチャット中だ。カバンに|ノートPCとWI-FIルーター《仕事道具》を入れてて助かった。
『俺らが学生起業したことは?』
『僕も母さんも何度も説明したんだけど』
『親父さん、相変わらずだな』
父さんは思い込みが激しいというか、信じたいものしか信じないというか。
高校時に仲間とゲーム会社を起業して、もう少しで年商が億に届く。でも父さんは未だに僕が無職だと思い込んでいる。
『ま、良い機会だと思っとくよ。もう父さんに邪魔されることもないしな』
『むしろ遅かったんじゃねぇ?』
『かもね』
学生時、会議中に乱入して邪魔されたことも二度や三度ではない。その都度母さんが止めに入ったんだけど……。
『おばさんに新居の連絡は?』
『とっくに。近々荷物を取りに帰ることも合わせてな』
『親父さんと鉢合わせないようにな』
『それなんだけど……』
さすがに母さんもじいちゃんたちも愛想つきたらしく、父さんと離縁の方向で話を進めてるらしい。
じっちゃたちも縁切りを検討していると前に言ってたなぁ。
『社長。話は変わりますが、日本一ゲームウェアさんから移植のお話が……』
僕はゲーム開発会社の社長兼プログラマー。
さて仕事に入りますか。
感想をくれると嬉しいです!!
14:15⇒母への連絡の件と、父の追放の件を、追加しました。
14:30⇒タイトル変更しました。