遊園地の秘密~メリーゴーランドの馬
みんなは知ってるかい?
このきらびやかな遊園地に、秘密が隠されている事を…。
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(メリーゴーランドの馬)
「はぁ…今日も僕だけ乗ってくれなかった。みんないいな。僕だけ白い…みんな色んな色のお馬さんになってて、かっこいいな。僕だけ白でちょっと汚れてる…。誰か…乗ってくれないかな。」
寂しん坊の白いお馬さんに、可愛い可愛い女の子が、最初に乗ってくれました。
「えっ!乗ってくれるの!やった!みんな見て!ほら僕も乗ってくれたよ!みんな?あれ?何で…。みんながいない…。」
白いお馬さんは夢を見ていたのです。
いつか乗ってほしいとゆう強い気持ちが夢に…。
白いお馬さんは、遊園地を管理する人達に愛されいつも綺麗にしてもらっていました。
時はすぎて真冬のある日。
遊園地は閉鎖になる時が来てしまいました。
「とうとう閉鎖か…。まあ20年もよくもったよ、だが、あの白い馬は誰にも乗られずに幕を閉じるのか…。」
管理する人達は一斉にメリーゴーランドへ向かい、みんな他の馬じゃなく、白いお馬さんに乗ろうと列に並んで待っていました。
最初に乗ったのが、1番白いお馬さんを大事にしていた、おじいさん。
「ん?えっ!ゆ…夢じゃない。あぁ…あったかい。君が僕の最初のお客さんだ。何だか懐かしい匂いもする。あ!この人は、僕をいつも綺麗にしてくれてた人、えへへ、なんだか嬉しいな。あれ?みんなどうして、他のお馬さんに乗らないの?僕のこと、待ってくれてるの?それなら嬉しいな!」
おじいさんは白いお馬さんを優しくずっと撫でていました。
「よく頑張ったな。お疲れ様。ゆっくり休むんだよ?ほら、見てごらん?みんな君に乗りたくて並んでるんだよ?今日は君が主役だよ?」
おじいさんが降りて次々とみんなが交代して乗っていきました。
遠くのベンチから、小さな男の子が見ていました。
それに気付いたおじいさんは声をかけました。
「どうしたんだい?」
「あ、あの…遊園地が閉まっちゃうって聞いて…あの!メリーゴーランドの白いお馬さんに、これをつけてあげてください!」
そう言って男の子は去っていきました。
箱を開けると、折り紙で作られた王冠、金メダル、赤いリボンが入っていました。
おじいさんはみんなが乗り終わった後に、頭に王冠、首に金メダル、足にリボンをつけました。
「ん?なんだこれ…。よく見えないな…。」
おじいさんは見えるように大きな鏡を持ってきました。
「うわぁ!王冠だ!これは、金メダル!足にリボンだ!僕、かっこいい!今日は僕にとっていい一日になりそうだ。」
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白いお馬さんは、身にまとった自分の姿に見惚れて眠りにつきました。
おじいさんは、閉鎖する遊園地に別れを告げました。
白いお馬さんが目を覚ますと、あったかい暖炉のお部屋にいました。
そう、おじいさんは離れたくなくて持ってかえっていたのです。
「これで、ずっと一緒じゃ。ずっと乗ってあげる事もできる。」
白いお馬さんはここで初めて、声を聞く事が出来ました。
「あぁ、この人だ。僕のこと、いつも大切にしてくれてる人…ありがとう…ありがとう。」
流すことない馬から涙が出た瞬間でした。
おじいさんは泣いている馬を抱きしめながら
「メリーゴーランドに居た君は輝いてみえたよ、ありがとう……。」
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