101回目の告白で付き合ってくれるらしいんだが、ずっとカセットテープレコーダーを回されていて恐怖しか勝たん
リハビリ作品第4弾。
「第3回下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞」参加作品の為、1000文字以内の超短編です。
「僕の人生という映画の主人公は君だ!」
「アンタが言うとクサすぎる」
「君と二人で時計の針を進めていこう!」
「分かりづらい」
「俺という荒波を乗りこなせるサーファーはお前しかいないんだ」
「波激しそうでやだ」
「おい! マジなんだこの時間!」
俺は公園の真ん中でツッコミを叫ぶ。
目の前には俺の好きな人。須藤彩音。
きっかけは話すと長い。
それは一時間前、俺が彼女に初めて告白した時のこと。
「本気度が伝わってこない。本当に好きならあと百回違うパターンで告白してみなさいよ!」
以上! そして、今に至る。
「俺がハットトリック決めたら、付き合おう!」
「多分一生無理だよ。アンタ将棋部じゃん」
「俺がオーパーツを見つけてこれたら付き合おう!」
「アンタ将棋部じゃん」
「僕の人生という車の助手席には君が座って欲しい!」
「アンタ運転ヘタそう。将棋部だし」
「この、サイコロで……! ピンゾロが、出たら……! お前は、俺と付き合う……! ざわ……!」
「なんて傲慢……! 焼けた鉄板の上で五体投地しろっ……!」
「ひひ、君を密室に閉じ込めて飼いたい」
「どっちが飼い主かはっきりさせてあげましょうか」
「鏡よ鏡よ、鏡さん、俺と付き合ったほうがいい女の子はき~みだ☆」
「い~やだ★」
「お菓子、食う? 付き合ってくれたらあげりゅ~」
「キモイ。お菓子よこせ」
「雪だるま、つくろ~」
「おい、アホとガキの将棋部」
「俺と君が出会った。そうそれは正に運命の交差点! 付き合おう」
「クロスチョーップ!!!」
「ふっ……ざけんなぁあ~! お前、いい加減にしろよ!」
「アンタもね」
確かに、ちょっと途中から楽しくなってきてた。数もう分かんないし。
ていうか、お前も楽しそうじゃん。とニヤつく須藤を見ると手にはカセットテープレコーダー。
「っていうか、待て……お前……それ、ま、回してたのか!?」
「もち。あとでニヤニヤさせていただきま~す」
「アホかああああ!」
「アホはアンタ。将棋部の癖に」
「はあ~、マジかよ。じゃあ、これは? ……『俺にお味噌汁毎日つくってくれないか』とか?」
……あれ?
あのツンデレクイーンが顔真っ赤にしてもにょもにょしてるんですけど。
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『俺にお味噌汁毎日つくってくれないか、俺にお味噌汁毎日つくってくれないか、俺に……』
「ふふ……」
私は、アイツの告白を鬼リピしてニヤニヤしながら、明日のデートに思いを馳せた。
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