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第7話 友達の作り方case1

 

 週末はカラーギャング達と散々遊んだ。

 缶けりにケードロ、かくれんぼにタカタカ鬼。

 私が小学生で引っ越してしまったためにできなかった、小学生の遊びだ。


 私のなかではあいつらはただの幼馴染のガキだね。


 それが何でカラーギャングなのよ!


 で、私が親分って何?!


 昼休みの教室。私は隣の由紀ちゃんとお弁当を食べていた。ポップする男どもを避けるために。いや、虫除け扱いして悪いとは思ってるけど、由紀ちゃんを隠れ蓑にする。


「ま、かまわないけど……」そう言って優しい由紀ちゃんがお昼に付き合ってくれる。


 なお、公太は彼女さん、鈴原だっけ? を連れてどこかに行った。


 公太の彼女さんの連れ出し方が、えらそうで怖いかった。

 鈴原もビクビクした感じで慌てて公太について出ていった。

 うん、変な噂も立つよね、あれじゃ。



 お弁当を食べ終わるころ、他のみんなもお弁当を食べ終わったり、学食から帰ってきたりで、周りが騒がしくなる。


 ひときわ騒がしいグループがあった。いつもの三人のチャラ男と、ギャルぽい女の子。女の子は二人、名前は……。覚えてないや。ま、いっか。


 そのグループに似合わない男の子が混ざっていた。陰キャ……、いや、地味でおとなし目の男子生徒。


 その男子はチャラ男の一人、加藤に頭を抱え込まれている。

 加藤がなんか言って、ギャル二人が大笑いする。

 陰キャ……、おとなし目の男子が愛想笑いをしていた。


 何、あれ?


「育ちゃん、どうしたの?」

「いや、あれ……」

「ああ、川本くんっていつもいじられてるよね」と由紀ちゃんは言って、特に興味無さそうに違う話をしだした。


 放課後由紀ちゃんのお気に入りのカフェに行かないかと言うお誘いだ。

 とても魅力的だ。私は何とかクラスに仲の良いお友だちが欲しいのだ。


「何々、放課後どっか行くの?」由紀の友達らしい女子が二人私たちのところにやって来た。

「行きたーい。一緒に行こ!」

 二人も私に好意的だ。由紀を通じて私と仲良くなりたかったのだろう。ありがたいことだ。


 でも、今その話題なの?


 いや、私に何ができるかと言っても、何もできないけど。

 いつも転校先で揉め事に巻き込まれないように立ち振る舞ってきた。

 何も思わない訳じゃない。

 でも、友達がいない転校先で揉め事は絶対ダメだ。


 転校する前ならそんなこと無かったのに……。


 私が揉め事を起こしても、幼馴染み達が納めてくれた。


 ……力ずくで……。


 やっぱり私か……、幼馴染み達がカラーギャングになった原因……。


 私は立ち上がろうとしていた。


「育ちゃん!」由紀が私を呼び止める。「何しようとしてた?」


 え? 何だろう?


「面倒なことに関わっちゃダメ」当然でしょ? て感じで諭してくる。

 うん。由紀ちゃんは善意で言ってるんだよね。


 私はもう一度、イスに座り直す。

 転校先でいつも感じた感覚……。


 ワタシノココロガシンデイク



「おい。川本!」

 公太の声が聞こえた。


 いつの間にか、公太と鈴原が教室に戻っていた。どこかで、二人でお弁当を食べていたのだろう。


「喉乾いた。ジュース買って来い」鈴原の机の上に座って、教室じゅうに聞こえるくらい大きな声で言った。

 鈴原は自分の席に座って下を見ている。


「おい、川本は俺たちとあそんでんだよー!」加藤が言い返す。

 二人の距離は離れているので、どちらも大きな声だ。


 そんなに大きな声を出さなくても話はできるだろうに。

 だって、教室は恐怖で静まり返っている。


「川本。そんな奴らと遊んでないで、ジュース買ってこい!」

「んああ?! 川本はお前のパシリかよ!」

「ああ、そうだ。お前買ってきてくれるか?」

「何でお前にパシられなきゃなんねーんだよ!」


 加藤は、ヘッドロックしていた川本を離し、数歩だけ公太に近づく。しかしそれ以上は近づかない。

 イキがっているが、公太にビビっている。


「まあまあ、僕、買ってくるから」川本が慌てて加藤を止める。ヘラヘラ笑いながら。

 加藤は黙って、川本が教室から出ていくのを見送った。


「宮野ってホント、嫌な奴だよね」由紀の友人が不快そうに言った。




 放課後、由紀とその友達二人と私の四人でカフェに行った。

 由紀のお気に入りのカフェはとても雰囲気が良かった。


 由紀もその友達も話題のセンスが良くって、とても楽しい時間を過ごした。

 転校して、友達が出きるかとても不安だったけど、早速友達ができそう。

 由紀もまずまず見た目可愛いし、なにより社交性とか会話のセンスが良い。その友達も由紀の友達だけあって話していて楽しい。


 可愛い子の周りには可愛い子が集まって、自然とカースト上位のグループができちゃうよね。

 私は可愛いから、何とか上位グループで収まりそう。

 可愛いと、色々得だよね。



 公太は、私にまともな友達ができないとか、失礼な事言ってたけど、そんな事なかった。

 どうだ、公太。早速友達できたよ!


 あれ? 公太が言っていた、まともな友達ができない理由は何だったっけ?


 そうそう、このクラスにまともな奴はいないから、だったっけ……。


 ……。


 ……公太の言うとおりだったね……。




読んでくれてありがとうございます。

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