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第4話 新学期DAY1


 私は目覚まし時計の音で目を覚ました。

 私の部屋は西向きなので朝日が差さない。つまり休みの日は朝日に邪魔されずに寝放題と言うことだね。


 カーテンを開ける。窓も開ける。


 お隣の家のお隣の部屋のカーテンは閉まっている。まだ寝てるようだ。

 スマホを手にとって電話をかける。


 隣の家の隣の部屋から呼び出し音が聞こえる。デフォルト音だった。


『何?』寝起きの声が聞こえる。

「おはよう。公太」

『おはよう。育』

「窓開けて」電話を切る。


 向の部屋のカーテンが開き、窓も開かれる。

 眠たそうな顔をした、パジャマ姿の公太がいた。

「眠い。朝っぱらから何?」

「今日から学校だね」

 二人の距離は、普通の声の大きさで会話ができる程度に近い。

「まだ早いだろ」

「私は転校初日だから。手続きとかあるから早く行かないと」

「そう。お疲れ」

「一緒に行こ?」

「行かないよ」

「いいじゃん」

 公太は不機嫌そうにしていて、返事をしない。


「じゃあ、明日からは一緒に行こ?」

「行かない」

「何で?」

「学校の奴らに、育と連れだと思われたくない」

「? 何で?」

「言っただろ」

「彼女さんが嫉妬深いの?」

「……そういうことにしといてくれ。二度寝する。じゃあな」カーテンを閉められた。


 何かおかしい。

 彼女さんが嫉妬深いとは一言も言ってない。ただ否定しなかっただけ。


 今日は転校初日の手続きがあるので、いつまでも公太にかまっていられない。


 服を着替えた。




 担任の先生に連れられて私が所属するB組の教室に向かった。

 みんな1年からそのまま繰り上がりのため顔見知りらしい。私は完全に出遅れと言うことだ。

 そういえば、公太のクラスを聞いてない。同じB組という偶然はあるだろうか?

 私としては同じクラスがいいけど、あの感じだと公太は嫌がりそう。


 HRで担任に紹介してもらった。

「秋山育です。よろしくお願いします」無難に挨拶しておく。

 でも教室はざわざわしている。

 特に男子が色めき立っている。代わりに女子が冷めた目で見てくる。

 うん、めんどくさそうなクラスだね。


 公太、みーつけた!


 偶然ってあるのよね。ついてる。

 公太は黙って下を見ている。こっちを見ない。

 目を合わせると私がいらないリアクションをすると思ってるのだろうか。うん、多分そう。そしてそれは正しい。


 同じクラスだという公太の彼女はどこにいるのだろう?


 短いHRが終わってから体育館に移動する。本当は教室に集合するだけだったらしいけど、私の紹介に時間がとられたらしい。


 体育館に移動するときに、さっそく囲まれた。

 特に三人のチャラそうなのがぐいぐいくる。初対面の女の子にぐいぐいくるんだから、それはチャラいよね。


「君、可愛いよね。学校で一番美人じゃね?」

 うん、知ってる。

 でも他の女の子がいる前で何で言うかな? あなたが女の子に嫌われるだけだじゃなく、私まで反感買うんだけど。

 あと、自分の感想を、勝手に全体の総意みたいに言うな。


「クラスで一番は育ちゃんだよね。鈴原ざまぁだよな」

「鈴原生意気だからなー」

「断然鈴原より育ちゃんの方が可愛いよ」


 いきなり名前呼びはまあいいけど、その鈴原さんって誰よ?

 私とその鈴原さんで、いったい何の勝負してるのよ?


「連絡先、交換しようよ」

「クラスのグループなら入るよ?」


「今日、歓迎会しようよ」

「あーごめん、引っ越しの片付けおわってないんだー」

 嘘です。終わってます。概ね公太が片付けた。


 とりあえずチャラ男三人の名前は覚えた。

 加藤、斉木、藤原。私の中で優先順位の低い情報が最初に手に入った。


 体育館で始業式のあとも、男子、主にチャラ男三人に囲まれて質問責めに合う。

 うん。覚悟はしていたけど、ヒドイなこれ。


 始業式の後のHR。担任が何か話しているときに、とりあえず隣の女の子に話しかける。

 こうでもしないと女の子の友達できないよ。


 隣の女の子は飯島さん。普通の子で普通に親切。

「鈴原さんって誰?」

「んー、あの子」

 飯島さんが指した先に綺麗な女の子がいた。

 でも何か暗そう。薄幸な美少女ぽくって庇護欲をそそるのか? 男どもは?


「あんまり関わっちゃだめよ」

「どうして?」

「彼氏が怖いのよ」

「怖い彼氏いるんだ」薄幸の美少女的にはポイント高いかもね。

「鈴原さん、おとなしいからムリやりに彼女にされてるって噂」

「マジで?」

「そいつ、ホントに危ないやつだから絶対に関わっちゃだめよ」

 逆に関わりたい。

「あの男」飯島さんは男子生徒を指差す。

「宮野公太。絶対近づかないでね」


 ……、公太のどこが怖いの?




 ◇◇◇◇◇


 俺が帰宅して部屋に入ると、見張ってたかのようにスマホの呼び出しがなった。

 育だ。


 電話をとらずにカーテンを開ける。

 向の部屋で育がこちらを見ていた。


 彼女が呼び出しを終了させたのか、スマホのコールが止まる。

 窓を開けた。

「遅い!」

「寄り道してたんだよ」

「そっち行っていい?」

「えー、疲れたからダラダラする」

「飛び移るよ?」彼女が窓のサンに足をかけた。

「やめろ。玄関から来い」



 玄関を開ける。

「おじゃましまーす」育がにこやかに入ってきた。

 俺の部屋に入れると、彼女は勝手にベッドに寝転がる。彼女はすでに部屋着に着替えていた。


 俺も部屋着に着替える。

「着替えるから、あっち見てろ」

「ぶー」


「何なのあのクラス!?」

「人気者だね、育は」

「あれじゃ、まともな友達作れないよ」

「……まともなやつなんかいないから」




読んでくれてありがとうございます。

怖い不良が実は……。少女マンガによくあるやつ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 視点が切り替わるの良い。 やっぱどんなこと考えてるのか気になりますよねー。 それと、昔のお友達に会った時のリアクション、もっと大袈裟にしてほしかったなぁと少し思いました。 育「かずくん…
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