魔女は自身の迂闊さを後悔する
受け取ったギルドカードを確認すると自身の情報が記されているのが確認できた。
【名前】リリス・オクタヴィア
【年齢】96841歳
【魔力】魔力量6,958,424,685
【回復】回復量987,925,384/60sec.
【冒険者ランク】F
【レベル】9581506
【スキル】血魔法.基本4属性.上位属性4種.最上位属性4種.治癒魔法.再生魔法.無属性魔法.魔力感知.生命感知.魔眼.魔力視認.情報改竄
改竄したステータスは以下の通りとなる。
【名前】リリス・オクタヴィア
【年齢】16歳
【魔力】魔力量259
【回復】回復量18/500sec.
【冒険者ランク】F
【レベル】18
【スキル】火属性魔法
年齢は先程自身で4桁以上である事を公言してしまったが他の国や街のギルドで問題なるのは間違い無いので改竄……いくら話しが進まないとはいえ年齢をバラしてしまった事を後悔しつつ……レベル、魔力、一部のスキルは絶対に面倒な事になるので徹底的に改竄する。
冒険者になった理由がそもそも強い相手と闘いたいという理由なのにこんな最低ランクで注目を浴びたりしたくない……。
嫉妬に駆られた愚か者が出てきたり興味本位で近づいてきた雑魚に“最低ランクだから”と侮蔑され決闘を申し込まれかねない……。
ランクが高い者が浴びる注目や視線と最低ランクの者が浴びる注目や視線とでは天と地ほどの差がある、前者は羨望や畏怖、後者は侮蔑や嫉妬だと言うことを過去に痛い程思い知っている。
高ランクになるまた色々な問題が浮上してくるが、そちらは対処可能な問題ばかりだ。
強者との殺し合いでのみ感じられる愉悦と言う私の生き甲斐をどうでもいい理由なんぞで妨げられたくない……故にステータスは今のランクで見せるのは問題外。
特に……今喋りかけてきている4人組のパーティーの人間達には絶対に知られたくない情報である。
先程“魔女”と宣言したのが不味かった……“魔女”と模擬戦をしたいと言い出した4人組のパーティーの内の1人、異界の人間が広めたであろう服装……靴底に踏み抜き防止の為に魔力伝導率に優れた魔鉄鋼が仕込まれたコンバットブーツにワイシャツを着込んで魔物の素材から編まれたコートを着込み魔銃を担いだ女性がしつこい程言い寄ってきた。
周りのパーティーメンバーや受付嬢は必死に辞めるよう説得している……しかし3時間以上も足止めを喰らっている為にリリスの苛立ちは最高潮に達しているがそれを理解しているのは説得を続けているパーティーメンバーと受付嬢のみであり当の本人は全く理解していない。
ずっと同じ事を繰り返し喋ってきている……“模擬戦をしたい”と……それしか言わず他の会話が成立しない……。
溜息をついて苛立ちを隠さずに一言呟く。
「嫌です、何故貴女と模擬戦をしなければならないですか? こちらにとってメリットがまるで無い、もっと強くなったら考えなくも無いですが今の貴女とは闘いたくも無い」