魔女は正体を明かす
リリスがまだ若そうな……と言うより恐らくは新米の受付嬢に伝えると受付嬢は困った様な顔をして先輩受付嬢へと視線で“助けて下さい”と合図を送る。
10代の新米受付嬢が椅子から立ち上がると代わりに20代前半と思しき先輩受付嬢がリリスのいるカウンターへと来て諭す様な口調で伝えてきた。
「お嬢ちゃん……冒険者はお嬢ちゃんが考えている程甘い職業じゃないの……それに冒険者登録可能なのは15歳からなの、お嬢ちゃんは見たところ11〜13歳って所だしあと何年か経ってから来てね」
先輩受付嬢がそう言うと隣のカウンターにいた冒険者の4人組の20代後半の男女混合のパーティーも諭す様に語りかけてきた。
「お嬢ちゃん……お嬢ちゃんはまだ若いしこんな血生臭い職業に就く必要は無いんじゃないか……今冒険者をやってる俺らが言うのもなんだが俺たち4人は選択肢が無かったからこの仕事に就いたんだ、嬢ちゃんには俺らにはもう無い未来がある」
恐らくはパーティーの代表者と思われる男性がそう語りかけてきたので一向に話しが進まない為に受付嬢とパーティーの代表者である男性に自身の正体を伝える。
「ご心配いただきどうもありがとうございます、しかしその心配は無用で御座います、私は“魔女”ですので……年齢も4桁から先は憶えていません……」
証明の為に手の甲に刻印されている“魔女”特有の印を見せると受付嬢と隣の4人パーティーの全員が驚愕し畏怖の表情を浮かべていた。
「当てのない流浪の旅をしていましたが身分証明書を持っていないので……国や街への入国審査で蹴られてしまいますので身分証明書としてギルドカードを作りたいのですよ……」
とりあえずは今さっき作り上げた理由をつらつらと述べると受付嬢は紙とペンを取り出して記入欄の説明を行なってきた。
「……以上が冒険者ギルドの規則となります、ご理解いただけたでしょうか?」
纏めると
特別な理由が無い限り依頼を3ヶ月以上受けないと強制的に冒険者ギルドから除名される。
突発的事象を除き依頼以外で無闇に魔物を討伐してはならない。
と言った点に集約される。
「えぇ、理解しました……では、記入が終わりましたので確認お願いします」
笑みを浮かべながら記入が終わった書類を受付嬢へと渡すとそれを確認した受付嬢が魔導水晶に書類を翳すと魔導水晶に光が灯りギルドカードが作成される。
「どうぞ、ギルドカードで御座います、冒険者としてのリリス様のこれからに期待しています」
受付嬢は登録した者への決まった挨拶を済ませて別の仕事へと戻っていった。