魔女は入国し冒険者ギルドへ登録する
氷の様な笑みを浮かべて近くに居た盗賊の1人に掌を向けると自身の血液を弾丸にして発射し馬に乗っている1人の盗賊の頭部を破砕すると全速力で走って接近し呆けている盗賊の頭領の頸動脈を人差し指から噴出させた刃状の血で掻き切る。
それを見た盗賊の何人かは今起こった事がまだ理解できず呆けているが何人かはなにが起こったかを即座に理解して馬を操り逃走しようとしている。
「おいおい、逃すと思っているのかい? 殺し合いを吹っかけてきて負けそうになったら逃げるなよ?」
逃走を開始している数十メートル先の盗賊達を全員視界に収めると血魔法で逃走している盗賊達の血液を操作して沸騰させると逃走していた盗賊は皆、爆散し臓物を撒き散らして恐らくなにが起こったかを理解する間もなく死んでいった。
残った盗賊達はもはや戦意の欠片も無く怯え切っているが迷いなく頸動脈を掻き切り殺すと溜息をついて呟く。
「全く……なーんで未だに盗賊なんて稼業が存在するかねえ……」
盗賊の死体から硬貨だけ掠め取り、ある程度の金を得ると再度歩き始める
道を歩く事2時間と35分、漸く遠目に街並みが確認でき人もまばらだが増えてきている、後15分ほど歩くとで入国審査の列へ着くだろうと予想する。
暫く歩くと依頼を完遂したであろう冒険者や馬車に品物を大量に積んだ商人やらがごった返している。
冒険者や商人と同じ列に並び順番が来た為に入ろうとすると若い衛兵から声をかけられて止められる。
「ちょっとそこのお嬢ちゃん、そこの列は入国審査の列じゃないよ? 入国審査の列はこっち」
見ると今並んでいる列とは別の場所に“入国審査”と書かれた看板があり手招きで呼ばれた為にそちらの列へと移動する。
待つこと数分、順番が回って来ると女性の入国審査官が簡単な質問をしてきた。
「お嬢ちゃん、お姉さんにあなたの名前となんでこの国に入りたいかを教えて欲しいの」
柔和な笑みで語りかけてくる審査官に辿々しい口調と子供らしさを意識して喋り始める。
結論として入国はできたが身分証明書を所持していなかった為仮身分証明書を発行して貰い街中を散策している。
しかし所持していた金額では入国料は足りていたのだが仮身分証明書の料金が足りなく、審査官がポケットマネーで補ってくれた。
「……後で返さなきゃなぁ、おっと冒険者ギルドは此処か、千年前には無かった組織だな」
冒険者ギルド.カルディナ支部と書かれた三階建ての建物のドアを潜ると広々としたスペースの一角には飲食スペースがあり座席が10数席あるが全て満席で美味しそうな料理を皆、仲間内でつついている。
入って真正面には依頼の紙が纏めて留められているそこそこ大きな掲示板がある。
そして左側には5つの受付カウンターがあり受付嬢が忙しそうに働いている、1番左のカウンターでは依頼完了した冒険者が受付嬢に魔物の討伐証明部位と魔石を渡して報酬を受け取り魔石を換金していた。
冒険者のパーティーが換金やらをしている隣のカウンターへと顔を出して受付嬢に声を掛ける。
カウンターはリリスの身長より少し低いくらいなので受付嬢からリリスの姿が見えないという事はなく其処だけは安心したリリスであった。
「冒険者登録をしたいんですけど」