魔女は深い眠りにつく
其処は世界の果て、伝承や伝説上の化物どもが御伽話の中にのみ実在すると思われていた存在である古龍、伝承でのみ存在していた世界蛇、その他にも伝説上の、伝承上の、御伽話の中にのみ存在していたと思われていた化物どもが実在する魔境。
その様な場所にポツンと1人たたずむは黒い衣服に身を包み灰色の髪を腰まで伸ばしている10代に見える魔女。
名をリリス・オクタヴィア……戦闘中毒者であるリリスは強者との戦闘という愉悦を求めてあらゆる場所の魔王と呼ばれた異常個体の魔物、天界にいるという天使や地獄にいると言われている悪魔との生死を賭けた戦いの果て半殺しにした魔王の一体から聞き出した情報でこの世の果て、世界の果てにまだ見ぬ強者がいるとここにきたのだが……結果としては時間の無駄であったと言わざるを得ない……。
「はぁ……時間の無駄だったわね、古龍と蛇しかいないなんて……もうこの世には私の相手をする様な強者は居ないのかしら……」
血塗れの衣服を気にすることも無く苦もなく瞬殺してしまった全長158.9m程の古龍と400mは降らないであろう世界蛇の死体を前にこれから先どうするかを思案するリリス……深くため息をついてかぶりを振り目の前の死体を前に言葉を紡ぐ。
「とりあえず古龍の心臓と蛇の心臓くらいは喰べておかないと本当に時間を無駄にしただけね……」
そう呟くと古龍と蛇の死体を前に手を翳すと掌から自身の血液を刃の形状にして噴出させて古龍と蛇を解体し心臓を取り出すとそのまま衣服や顔が血塗れになるのも厭わずにムシャムシャとかぶりつき2つの心臓を平らげると古龍と世界蛇の魔力が身体の奥底まで染み渡るのを実感する。
「さて……本当にやる事がないな、いっその事来世に託すか? ……来世? あぁその手があったじゃあないか、確か自宅に休眠魔法を掛けた寝具があったな、あれを使おう……さて思案している暇もない行動に移すか」
リリスが身を翻すと物体転送魔法を使用して自身を自宅へと転送すると早速寝具に掛けてある休眠魔法の時間設定を設定し直し次に目覚める時間を千年後へと変更すると紛失してはならない物や逸品ものの魔術装飾品や書物を腰に付けているポーチ型収納魔法具へと突っ込むとそれを体内へと収納し寝具へと寝転び深い眠りについた。
文字通り千年後の世界を夢見て……。