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ディオン・アルノー
漫画の世界では、物語の終盤アリスと王太子が数々の命を狙われることとなる。
その黒幕が彼である。
元々、隣国の国王の血をひく彼は隣国の為に暗躍する役所である。
このシュタール国と隣国のサリバン国は何度も戦争をし、睨み合っている間柄だ。
そんな隣国の国王の側室として、ディオンの母であり、レティシアの母方の叔母が嫁いだ。
ちなみに、この国王と叔母は国王がこの国に来た際にお互い惹かれて、そのまま連れ帰ったという恋愛結婚である。
まだ若く正妃もいなかったが、叔母は敵対している隣国の伯爵令嬢ということで周りからの反感もあり、側室に収まった。
ところが、国王が他国の催しに招かれ、帰国する際に何者かに襲われ殺されてしまう。
国王の寵愛に守られていた叔母は、国王が崩御した後の後ろ盾もないことから、立場が不安定となる。
王弟から、急遽国王となった国王の弟の働きにより、叔母を悪意から守るために、隣国と関わりのあるシュタール国のアルノー侯爵の妻となった。
王弟である現国王も、叔母も、アルノー侯爵もお腹の子に気づいたのは、アルノー家に叔母が籍を移してからであった。
幸い、生まれた子は叔母によく似た深緑の髪色と蒼い瞳をしていたことから、皆はアルノー家の嫡男として育てることにした。
一見、何も知らず幸せな家庭として育っているようにみえた。
だが、叔母の心は既に壊れており、国王を殺したものへの復讐を心に誓っていた。
その標的がシュタール国であり、王太子である。
国王を殺したと思われる者たちが、シュタール国のものであるという証拠を叔母と王弟は手にしていた。
子供の頃から刷り込みの様に、復讐するために生まれ、生かされたディオンは、叔母の言葉通りシュタール国を壊すことを生きる目的とした。
そのため、王弟の指示により隣国へと情報を流し、じわじわと国内を混乱へと導く。
そして、自分をそうまでしたサリバン国をも憎み、シュタール国とサリバン国の憎み合いを増長させ、悪意に満ちた世界を作ろうとしていた。
そして、巻き込まれたのがこの私。
寂しい家庭環境につけ込まれ、ディオンへの初恋を拗らせ、黒幕の傀儡として暗躍する。
そして、黒幕まで辿り着かせないよう、邪魔になってポイされた可哀想な捨て駒要員である。