表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/16

3

あの夢は何だったのか。

レティシアは大きなベッドの上でひとり考える。


あの女性は確かにレティシア自身であった。

顔もぼんやりとし、友人、家族のことなど何も覚えていない。


覚えてるのはあの漫画だけ。だが、たしかにあれは現実である。

根拠のない確信として、それだけはあった。




もしかして




レティシアの頭の中に浮かぶ「前世」という言葉




これが一番しっくりくる。

きっと前世があの女性であり、あの漫画という物語の世界はこの世界である。


信じられないような現実であるが、現に6歳のさっきまでの自分では考えられないような思考を持っている。





前世の女性の思考が6歳の自分の思考を上回る、変な感覚に襲われる。

グルグルとまわる頭の中で、ヨロヨロとレティシアは立ち上がり、机の前に辿り着く。


そして、引き出しの中から一冊のノートを取り出す。

一心不乱に先程までの記憶を書き連ねていく。

あの物語の全てをひとつ残らず忘れないために。



あの記憶が確かであればレティシアは殺される。



記憶を失う前に出会った、あのディオンに。




前世の自分がどのように死んで、今レティシアとして転生しているのかは分からない。

ただ、死ぬ未来が待っているのに足掻くこともなく死んでいくなんてまっぴらだ。


なんと言っても、レティシアは見目がいい。

漫画では麗しの白百合令嬢と呼ばれていた。

サラサラと柔らかく緩やかにカーブするプラチナブロンドに、紅くぷっくりとした唇、少し垂れ目の大きな瞳は薄紫に輝いている。

白い肌には、チークもつけていないのにピンクに染まっている。

16歳の時点で、夢のボンキュッボン体型を手に入れられる予定だ。


そんな国一番と呼ばれる美貌を持つ未来に生まれたからには、人生を謳歌したい。




死んでなるものか。






そう決意していると、控えめにトントンと扉をノックする音が聞こえた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ