2 さばとらとらさん、やってくる
お家に旅の客人があらわれました。さばとらねこのとらさん。行商をしながら、いろいろな土地へ出かけます。
「腹いたにきく薬はいらんかね」
と、とらさん。
「あたち、おなかいたくならないよ」「あたちも」
みゃうにくうちゃんにが、あわせます。
「きのう買ってきたバターもち食べる?」
めるみが一個さしだしました。
「ほう、これはめずらしい」
とらさんは口にくわえたもちを、どこまでものばします。その姿に、みゃうとくうちゃんは大喜び。他の人たちもくすくす笑いながら、とらさんが次に何を言うのかワクワクしています。
「町の東のはずれにある、城あとへ行ったことがあるかい?」
とらさんが話しはじめました。
「満月の夜の0時ちょうどに門の内側に入ると、2度とこちらの世界には帰ってこられなくなくなるんだよ」
とらさんの言葉にみんなしーんとしています。
「見ていた人が言うには、入って行った者の姿が突如モザイクのようになって消えていき、いくら待っても帰ってこなかったそうだ。こわくてこわくて、いちもくさんに逃げ帰ってきたらしい」
みゃうとくうちゃんはぴったりくっつき、手と手をにぎりあってきいています。
「で、なんでそんな場所にそんな時間、行こうと思ったのですか?その人たちは」
パダさんは冷静です。
「何かキモだめし的なことだったのですか?」
ぽこりんが深く追求します。とらさんは困った顔でいいました。
「いやね、きいた話しはそれだけでさあ」
そして、急に調子が変わり
「とにかく夜中に出歩かないことだね」
と、続けました。
「まあ、それはそうですけれど」
にゃっぷるが言い、みーにゃんもうなずきました。
「さあてと、一休みさせてもらったから、出発しようか」
とらさんは立ち上がって、持ってきた大きな荷物をもちました。
「こんどはどこにむかおうかな」
とらさんはのんびりと言うと、ねことぱんだの家を出ていきました。
「今日のごはんは何?」
みゃうとめるみが同時にききました。