龍の瞳

生まれつき白髪を持って生まれたハル。突然異世界へ連れてこられ、訳も分からず王族へと仕立て上げられてしまう。自由と自己を奪われ途方に暮れるも、元の世界へ戻ることを決心、意を決して王国から逃げ出すことにした。
運よく人に拾われ、鷹の団の傭兵として命を懸けた仕事に手を伸ばすハル。初めは血生臭い戦いに晒されて、心がくじけそうにもなったが、進むべき道を見据えながら、現実と向き合うことから逃げなかった。どんな世界でも、辛い思いをしないことなどない。ハルはいつしか、元の世界へ帰るという目的も忘れて強くなろうとしていた。
やがて傭兵としての仕事も板についてきた頃、ルーアンテイルに良くない噂が流れ始める。アストレア王国が、再び戦争を始めようとしていたのだ。何かと因縁のある王国の動きに、ハルも何やら嫌な予感を感じ始めていた。
ついに始まったアストレア王国との戦争は、傭兵仕事とはまた違った、先の見えない慌ただしい日々だった。ハル自身も、王国からの間者に狙われる中、ルーアンテイルにも謎の怪物が襲撃に来る。それは、魔法によって人外の力を得た、正真正銘の化け物だった。