宇宙へ
宇宙へ
GC50年8月――
空軍基地に警報が響き、オペレーターのアナウンスが始まった。
「これよりティーナソラスの発進準備に入ります。非常用員は待機して下さい。発進システムのエンゲージを確認。マスドライバーの状態オールグリーン。格納ハッチを解放します。誘導員は滑走路から退避して下さい。プラットホームのセット完了。ハッチを解放します。移動デッキ、リフトオフ…」
ティーナソラスは初めて地上に現れた。
空軍の全パイロットたちは、ブリーフィングルームからスクリーンに映るティーナソラスの発進の様子を見ていた。
「おお、結構デカいなぁ!」
レックスは目を輝かせた。
「何か、最近はシボラって凄いなぁって思うことばかりね!」
エリノアが嬉しそうに言った。
「ああ、それでこそシボラだよ…俺たちの故郷だ!」
ナディムは感動に胸を打たれた。
「…最終スタンバイ作業に入ります。移動デッキ、マスドライバーへの接続完了。ティーナソラス、全システムオンライン。レーザー通信回線最終チェック。
これよりティーナソラスの発進シークエンスを開始します。APU(補助動力装置)始動。気象局の予報は晴れ、南西の風、5.7m、視界良好。発進カタパルト、接続完了。ティーナソラス、メインエンジン始動。10、9、…3、2、1、ティーナソラス発進!」
ティーナソラスは轟音と共にマスドライバーの滑走路を進み、やがて空中へと飛び去った。
「行ってこい、シャナス! そして必ず戻って来い!」
クレアは涙を流して船を見送った。
「シャナス、シボラは必ず僕が守るから安心してくれ」
アナムは一抹の寂寥感を感じて呟いた。
「必ず帰って来てね、リアちゃん。私、ずっと待ってるからね!」
リアの親友のセシルは彼女とよく遊んだルーベル山の崖の上にいた。彼女はリアに貰ったブリオングロードの原石を抱きしめるようにして、ティーナソラスが宇宙に向かって飛び去って行くのを涙を流しながら見つめていた。




