仲間の絆
仲間の絆
紅いMBはアナム小隊の方に振り返った。
「アナム、クレア……それに皆……ただいま…」
そのパイロットの映像が全隊員のモニターに表示された。
「お、お前……やっぱり生きてたのか、シャナス!?」
アナムはモニターに映るシャナスの顔を見て涙を零していた。
「シャナス……生きてた……全くお前は…どこにいたんだ? ずっと探してたんだぞ…お前がいなくなってから…ずっと…三人で…」
クレアは両手を握り締めて俯いて泣いていた。
「ごめんな、クレア、心配かけて…。アナムも、ありがとう、俺が生きてると信じてくれて。俺は自分でもどこにいたのかよく分からないんだ。あの小惑星に取り付いて大気圏に突入した瞬間、俺の身体を紅い光が包み込んだ。そして気が付いたら、俺は光の世界にいた。暖かくて、心地よくて、でも何か寂しくて、悲しくて、そんな意識だけがあった。そこがどこなのかは俺にも分からなかった。そのままで居たいような、どこかに行きたいような不思議な感じだった。
そしてシボラが危ないということだけが伝わって来た。それを感じた時、『リア・ファル』という紅い髪のリアに似た少女が俺の前に現れた。そして彼女はこう言った。
〈シボラが滅びようとしている。あなたはどうしたいの? あなたは道を選ばなくてはならない。『力の使い方』、そして『存在の在り方』を。
今、あなたに新しい力を授けよう。力の名は『レアルタ』だ。その力をあなたがどう使うのか。我々は見ている。さあ、行きなさい。あなたのすべきこと、したいことを選んで進みなさい〉
彼女はそれだけ俺に伝えると姿を消した。そして俺は気が付いたらこの機体に乗っていたんだ。突然目の前に巨大なミサイルが見えてきて、その前にお前たちがいるのが分かった。俺はすぐに自分のすべきことが分かった。俺はそのミサイルを止められるような気がした。そしてそれに取り付いたら、本当に止まってブリオングロードに変わってしまった、という訳だ」
シャナスは以前のままのシャナスだった。飄々(ひょうひょう)とした話し方、惚けたような表情、何も変わっていなかった。
「バカヤロウ……お前は…お前って奴は…いつもそうだ。人の心配も考えずに突っ走る。何でそうなんだ!? 僕は…僕は…お前が死んだって思って…どれだけ…」
アナムのヘルメットの中は涙が飛び交っていた。
「ごめんな、アナム。もう俺は大丈夫だから。これからはずっと皆と一緒にいる。やっと分かったんだ……父さんの気持ちが。だから、もう無茶なことはしないつもりだ。今までの俺は父さんのために戦っていた。父さんの気持ちが知りたかった。だけど、これからは俺の戦いだ。俺の戦いがどんなものか、お前に見届けて欲しいんだ」
シャナスは笑顔で言った。
「ああ、いいだろう、見届けてやるさ。だから、僕の頼みも聞いていくれ」
アナムはヘルメットのシールドを開けて涙を拭った。
「ああ、お前の頼みなら…」
シャナスの目からも涙が溢れ宙を舞った。
「頼むから、死なないでくれ! 生き続けて嫌になるほど僕の友であり続けろ! それが唯一の僕の望みだ」
アナムはそれだけ言うと笑顔になった。
「お前がそんな風に俺に頼むなんて…ありがとう、アナム…」
二人はモニターで微笑み合った。
「オエェ、おい、お前ら、いい加減にしてくれ! キモ過ぎるぞ!」
レアードはわざと吐くような素振りをして見せた。
「ああ、全くだ、気持ち悪くて仕方がないぞ」
レックスが眉根を寄せて言った。
「俺も吐き気に襲われたよ」
ナディムは呆れ顔で言った。
「フン! 変な芝居を見せられた気分だぜ。基地に戻ったらお前らをぶっ飛ばしてやる!」
キーフが顔を横に背けて言った。
「また、それかよ!」
レアードは呆れた口調で言った。
「私も鳥肌が立って、本当に気持ち悪くなったわ。絶対にあなたたちおかしいわ」
エリノアが腕を交互に擦りながら言った。
「さあ、基地に戻ろう! フィオナが待ってる!」
クレアが笑顔で言った。
「ああ、そうだな。全機これより帰投する。フォーメーション自由隊形、自由陣形、形態ファイター。相対速度自由。それぞれ思い通りに帰れ! 但し落下速度には十分気を付けろよ!」
アナムがふざけた調子で指令を出したのは、これが初めてだった。隊員たちはシャナスの帰還を祝い、任務を全うして生還できることを喜びながら機体を旋回させた。




