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シボラの雪  作者: 新条満留
第五章 新宇宙戦争
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仲間の絆

仲間の絆


 紅いMBはアナム小隊の方に振り返った。

 「アナム、クレア……それに皆……ただいま…」

 そのパイロットの映像が全隊員のモニターに表示された。

 「お、お前……やっぱり生きてたのか、シャナス!?」

 アナムはモニターに映るシャナスの顔を見て涙をこぼしていた。

 「シャナス……生きてた……全くお前は…どこにいたんだ? ずっと探してたんだぞ…お前がいなくなってから…ずっと…三人で…」

 クレアは両手を握り締めて俯いて泣いていた。

 「ごめんな、クレア、心配かけて…。アナムも、ありがとう、俺が生きてると信じてくれて。俺は自分でもどこにいたのかよく分からないんだ。あの小惑星に取り付いて大気圏に突入した瞬間、俺の身体を紅い光が包み込んだ。そして気が付いたら、俺は光の世界にいた。暖かくて、心地よくて、でも何か寂しくて、悲しくて、そんな意識だけがあった。そこがどこなのかは俺にも分からなかった。そのままで居たいような、どこかに行きたいような不思議な感じだった。

 そしてシボラが危ないということだけが伝わって来た。それを感じた時、『リア・ファル』という紅い髪のリアに似た少女が俺の前に現れた。そして彼女はこう言った。

 〈シボラが滅びようとしている。あなたはどうしたいの? あなたは道を選ばなくてはならない。『力の使い方』、そして『存在の在り方』を。

 今、あなたに新しい力を授けよう。力の名は『レアルタ』だ。その力をあなたがどう使うのか。我々は見ている。さあ、行きなさい。あなたのすべきこと、したいことを選んで進みなさい〉

 彼女はそれだけ俺に伝えると姿を消した。そして俺は気が付いたらこの機体に乗っていたんだ。突然目の前に巨大なミサイルが見えてきて、その前にお前たちがいるのが分かった。俺はすぐに自分のすべきことが分かった。俺はそのミサイルを止められるような気がした。そしてそれに取り付いたら、本当に止まってブリオングロードに変わってしまった、という訳だ」

 シャナスは以前のままのシャナスだった。飄々(ひょうひょう)とした話し方、とぼけたような表情、何も変わっていなかった。

 「バカヤロウ……お前は…お前って奴は…いつもそうだ。人の心配も考えずに突っ走る。何でそうなんだ!? 僕は…僕は…お前が死んだって思って…どれだけ…」

 アナムのヘルメットの中は涙が飛び交っていた。

 「ごめんな、アナム。もう俺は大丈夫だから。これからはずっと皆と一緒にいる。やっと分かったんだ……父さんの気持ちが。だから、もう無茶なことはしないつもりだ。今までの俺は父さんのために戦っていた。父さんの気持ちが知りたかった。だけど、これからは俺の戦いだ。俺の戦いがどんなものか、お前に見届けて欲しいんだ」

 シャナスは笑顔で言った。

 「ああ、いいだろう、見届けてやるさ。だから、僕の頼みも聞いていくれ」

 アナムはヘルメットのシールドを開けて涙を拭った。

 「ああ、お前の頼みなら…」

 シャナスの目からも涙が溢れ宙を舞った。

 「頼むから、死なないでくれ! 生き続けて嫌になるほど僕の友であり続けろ! それが唯一の僕の望みだ」

 アナムはそれだけ言うと笑顔になった。

 「お前がそんな風に俺に頼むなんて…ありがとう、アナム…」

 二人はモニターで微笑み合った。

 「オエェ、おい、お前ら、いい加減にしてくれ! キモ過ぎるぞ!」

 レアードはわざと吐くような素振りをして見せた。

 「ああ、全くだ、気持ち悪くて仕方がないぞ」

 レックスが眉根を寄せて言った。

 「俺も吐き気に襲われたよ」

 ナディムは呆れ顔で言った。

 「フン! 変な芝居を見せられた気分だぜ。基地に戻ったらお前らをぶっ飛ばしてやる!」

 キーフが顔を横に背けて言った。

 「また、それかよ!」

 レアードは呆れた口調で言った。

 「私も鳥肌が立って、本当に気持ち悪くなったわ。絶対にあなたたちおかしいわ」

 エリノアが腕を交互に擦りながら言った。

 「さあ、基地に戻ろう! フィオナが待ってる!」

 クレアが笑顔で言った。

 「ああ、そうだな。全機これより帰投する。フォーメーション自由隊形、自由陣形、形態ファイター。相対速度自由。それぞれ思い通りに帰れ! 但し落下速度には十分気を付けろよ!」

 アナムがふざけた調子で指令を出したのは、これが初めてだった。隊員たちはシャナスの帰還を祝い、任務を全うして生還できることを喜びながら機体を旋回させた。

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