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シボラの雪  作者: 新条満留
第二章 雪降る星
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未知の生物

未知の生物


 『シボラ管理委員会』は入植者を管理し支配する目的で地球の二大陣営の一つ『国際連邦』の一機関としてシボラに設置された。しかし、シボラの独立宣言後はシボラ人によって運営され、彼らの権利と安全を保障する事実上のシボラ政府としての役割を担っている。アナムの父ラルフはそこの『委員長』を務め『総督』を兼任し、シボラを中心とするコロニー群を統括運営している。

 ラルフは臨時委員会を招集し、調査団の最高責任者を召喚して火星の各地で行ってきた調査結果の報告を行わせていた。今からその最高責任者が調査団の行方不明事件の調査結果報告へ言及しようとするところだった。

 「…五年ほど前に第一次調査団が行方不明となった事件を契機に、その後も新たに派遣した調査団が同じように行方知れずとなる事件が相次ぎました。派遣された調査団員たちはその後行った捜索でも発見されず、未だに彼らの行方は分かっていません。

 どの事件現場にも共通しているのは、彼らが所持していた機材が散乱し、キャンプ地はテントやフライト・キャンピングが放置され、まるで慌ててどこかに逃げ出したような状態だったということです。そして必ず紅いブリオングロードの粉末が現場に大量に残されていました。そうした経緯から我々は次のように結論づけるしかありません。

 火星には我々人間の他にも生物が存在するということです。それも人間を始めとする他の生物を捕食対象とする肉食生物のような生き物です。しかしながら、その正体、数、生息地も未だに判明していません。ただ、現場に大量のブリオングロードの粉末が残されていたことから、その生物とブリオングロードは何らかの関係があることはほぼ間違いないでしょう。

 その生物の正体については幾つかの見解がありますが、まだそれを確定できるほどの情報が得られていません。従ってここでその見解を報告するのは不適切と考えます。以上です」

 調査団の最高責任者が報告を終えると、管理委員たちは騒然となった。彼が降壇するとラルフ総督が代わって登壇した。

 「これからも火星の調査は継続していかねばなりません。しかし、それには調査団の身の安全を確保するため、その正体不明の生物の早期解明は必須の条件です。今後、調査団を派遣するに当たっては、軍の協力を仰ぐ必要があると考えます。そこでこの委員会で軍を動かす許可を承認して頂くことを要請します」

 ラルフはそう提議すると委員たちを見渡した。そして表決が行われ、臨時委員会は全員一致で彼の提議を承認して解散した。

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