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14:夜間プレイ

 深夜の森の中。


『カイト様の目がギラギラしていらっしゃいます』

「夜行性なんだから仕方ねーだろ」


 俺が夜行性なのではない。

 いや訂正、少し夜行性だ。

 目が光ってるのは狐というケモミ族の特徴で、夜行性動物をチョイスしたケモミ族のプレイヤーは全員こうなるとさっき教えてもらった。

 自分で教えておいて、こうして弄ってきやがるんだからな。

 なんかこいつのAIが変な方向に学習していってる気がする。


『カイト様、獲物です』

「あぁ、見えてるよ」


 夜目のお陰で夜だってのによく見える。尤も、近づいてくる敵が発光・・しているので夜目とかも関係ないが。


 カジャールから再び北の森に来て1時間ほど経つが、さっきからあの敵ばっかりだ。

 見てて気持ちのいい物じゃない。

 なんたって、50センチは有ろうかっていう光った『蛾』だからなぁ。


「ティアラの効果があって良かったな。あれも一応昆虫だし」


 クィーンハニィからドロップした装備がここで役に立つ。といっても、装備しているのは受付嬢だが。


『……そ、そうですね』


 ん?

 今の間はなんだ?


『カイト様、また来ます』

「っち、多いな。レベル17モンスターだし、まぁこのぐらい居るほうがレベリングも捗っていいけどな」

『はい――っきゃ』


 ダメージを受けた受付嬢にすぐさまポーションを投げつける。

 っつか、今叫んだ?

 なんか女らしい声で叫んだか?

 い、いや。気にしたら負けだ。何に負けるのかは解らないが、負ける気がする。


 それにしても、パタパタパタパタとどっから湧いてくんだってぐらい集まってくるな。

 奥にある採取ポイントに向おうとするほど、数が増えてくみてーだ。

 ただ真っ直ぐ採取ポイントに進むだけで、次から次へと湧いてくる蛾『モスガー』を20匹ほど倒したところでレベルアップ!

 まったく同時に俺と受付嬢が光り、レベルアップの派手なエフェクトが乱舞した。


『おめでとうございます、カイト様』

「めでたいのはいいんだが、こうもモスガーに寄って来られたらステ振りも出来ねーな」

『そうですね。一度引き返しますか?』

「いや、採取ポイントまで強行突破しよう。あの上ならモンスターはいねーし。っあ。蛾だけに飛んでくるか?」


 森に来てからさっきので、2度目のレベルアップだが、前回のアップ時にもステ、スキル共に弄れてない。

 特にスキルのほうは早々に新しいのを取っておきたいんだがなぁ。


『いえ、大丈夫です。ノーマルモンスターであれば飛行タイプでも進入できないエリア扱いになっておりますので』

「よし、なら走ろう」

『はい』


 どんどん群がってくるモスガーを無視して森の奥へと突っ切る。

 前方からも飛んでくるが、気合で振り切った。


 300メートルほど走ったところで、例の採取ポイントへと到着。

 さて、モスガーが群れてる中どうやって登るか……いや、大丈夫そう?

 崖の周囲にある開けた場所には確かにモスガーが居る。だが、崖ギリギリの所を見事に避けて飛んでいた。

 安全地帯か。よっしゃっ。


「うおおおおおぉぉぉぉぉ」

『うおおぉぉぉ――』

「お前まで雄叫びあげんなっ」

『はい』


 どうしてこう、こいつは乱暴者になっていくんだ。

 あ……俺の言動見て学習してんだっけか。

 はっはっは……拙いな。どっかで女友達でも見つけてくれればいいんだが。

 それも無理……か?


 無事に崖にへばりつくと、それまで俺達を追い掛け回してきたモスガー達が、途端にこちらを見失ったかのように四散していった。

 っふぅー、これで一安心――っと。

 あ、ここから地味に攻撃とかできねーのかな?

 手が届きそうな距離にいるモスガーに短剣を振ると、ダメージが与えられた。

 よっしゃ!


 ――と思ったのも束の間、一瞬で奴のHPが回復しやがった。

 あー、絶対に反撃を食らわない位置からの攻撃で、楽してレベリングってのをやらせない為の防衛策か。

 かなり昔のMMOで、崖上から崖下のモンスターを遠距離攻撃で倒してレベリングってのがあって、プレイヤー同士で大揉めしたっていう歴史があったな。

 その対策が今回みたいな反撃不可能な位置から攻撃されたら、即座にモンスターの戦闘状態が解除されてHPが回復するっていう。

 ま、しゃーないか。


『ズルはいけません』

「ちょ、ぼそっと言うな、ぼそっとっ」

『ズルはいけませんっ』


 大声出せばいいってもんじゃないだろう……。これじゃド天然キャラだぞ。

 ……天然か……まぁ、嫌いじゃな――何考えてんだ俺は!

 NPC萌えとかありえねーからっ。


 妙な緊張感に襲われながら崖を登ると、無駄に足を踏み外すので注意しよう。

 っち、3回も落ちたじゃねーか。危うくHPがレッドゾーンに突入するところだったぞ。

 頂上に辿り着いたので安心して採取――もとい、ステータスなんかを振ることに。




◆◇◆◇◆◇◆◇


 名前:カイト

 レベル:17

 職業:盗賊 / 種族:ケモミ族

 

 HP:2850 → 3150

 MP:750 → 810


 STR:28+21 → 28+24

 VIT:17+25 → 17+29

 AGI:23+22 → 23+25

 DEX:15+1 → 15+4

 INT:5

 DVO:5

 LUK:10 → 10+1


 SP:65

 スキルポイント:0 


●アクティブスキル●

『石投げ』『足払い』『スティール:LV1』『シャドウスラッシュ:LV1』


●パッシブスキル●

『短剣マスタリー:LV5』『ダブルアタック:LV5』


●修得技能●

【格闘:LV21→24】【忍耐:LV25→29】【瞬身:LV22→25】

【薬品投球:LV4→7】

【岩壁登攀:LV3→4】【ポイント発見:LV4→7】【採取:LV5→10】【製薬:LV3→7】


○技能スキル○

『巴投げ:LV1』『ポーション投げ:LV4→7』『素材加工:LV2→5』『ポーション作成:LV2→6』

『電光石火:LV4』


●獲得称号●

【レアモンスター最速討伐者】【最速転職者】【ファースト・クラフター】

【ファースト・アルケミスト】



◆◇◆◇◆◇◆◇




 ようやく数少ない盗賊の攻撃スキルが取れた。『スタブ』っつー突き攻撃もあるんだが、武器との相性を考えれば斬撃系の『シャドウスラッシュ』だよな。

 もとより突きよか斬撃のほうが俺の好みだし。

 ただ『スタブ』はそのうち取らなきゃならないかもしれない。

 スキルツリーを見る限り、『シャドウスラッシュ』と『スタブ』の両方を取ることで発生するスキルがありそうだからだ。

 そのスキル効果次第なんだけどなー。誰かここまでスキル取ってるのいねーかな。

 飯のときにログアウトするし、その後でwikiでも覗いてみよう。


 DEXは【ポイント発見】【採取】【製薬】が、それぞれレベル5毎で+1されるのでステータスポイントはこのまま振らなくていいだろう。

【忍耐】ももう直ぐ30だな。そろそろステータスを振る頃かなぁ。

 流石に回避できないままだと、この先辛くなってくるし。

 LUKのボーナスは……【採取】か。

 レベル10毎にLUKに+1ボーナス。ふーん、クローズドには無かったな、このボーナスは。

 

【製薬】の成功率が技能レベルとDEX、LUKによって決まるからな。LUKが上がるのは有り難い。

 技能を調べてみると、【ポイント発見】と【製薬】もレベル10毎にLUKが増えると書いてあった。

【岩壁登攀】はレベル10毎にVITが増えるらしい……本格的にプチ硬い盗賊が完成するな。


「よし。こっちはスキルもステ振りも終わったぞ。お前はステやスキル、何に振ってるんだ?」

『はい。スキルはカイト様のものと同じでございます。ステータスは……お答えする前にポーションを投げて頂けませんか?』


「あ? なんで――はぁぁぁ?」


 ずっと下を――タブレットを見て会話していたので気づかなかった。

 今、受付嬢のHPがレッドゾーンに入ろうとしていた事を。

 慌てて受付嬢に『ライフポーション:LV2 ☆☆☆』を投げる。彼女が採取した草で作ったポーションだ。

 回復量は650あるが、まだ5割ほどは回復しきれていない。


「ポーション飲めっ」

『手持ちがございません。全てカイト様に預けていますので』

「って馬鹿かあぁぁぁぁぁっ」

『申し訳ありません』

「っというか、何でHP減ってんだよっ」


 辺りを見渡したが、ピッピロウの姿はない。当然、卵すら無い。

 じゃーなんだ?


 月明かりに照らされて、ポーションで濡れた受付嬢が上空を指差す。

 あ? 空?

 彼女の指差す方向を見上げると、ばっさばっさと羽ばたく巨大な――蛾が居た。

サブタイトルについて

18禁ではありまでn

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 安全エリアからのスティールはどうなのだろう? 。。。ま、ミス扱いになりそうではある。。。 蜂戦闘でも使用不可ではスキルレベル上がらない仕様だし。
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