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130:コボルトキングが・・・

「剣盾が火。短剣が土。弓は風。棍棒盾が水。召喚で出てくるエリートコボルトの属性だ」

「うわぁ、見事に四属性揃っちゃってるねぇ」


 俺の説明にナツメが嫌そうに声を上げる。他のメンバーも似たり寄ったりだ。まぁ解ってないのも一名いるけどな。


「揃ってるとどうなるんですか?」

「ココット君の為に説明をしてさしあげよう。教授――」

「カイト、君が説明すればいいだろう」

「いや、教授だろ? 先生じゃん」

「私の名前はモリアーティーであって、教授ではないのだがな。ブツブツ」


 ブツブツ言いながらモリアーティーは説明しはじめる。


「大半のモンスターには属性がある。火属性モンスターであれば火に対して耐性を持っており、ダメージも軽減される。この属性耐性レベルが高いと、ダメージ軽減はおろか、回復までさせてしまうのだ」


 今回のエリート軍団は回復していた。なので属性耐性レベルが高いモンスターだな。


「火属性魔法を使えば奴等が回復してしまう。だから奴等の弱点である水属性、もしくは氷属性の魔法を使おうとすれば……」

「棍棒盾のコボルトが水属性だったからのぉ。今度はそっちを回復させてしまう。という訳じゃ」


 鋼のおっさんにセリフを取られ、むぎぎとなっている教授。


「その水属性のコボルトを先に倒そうと、苦手な風魔法を使ったら……弓を持ったコボルトのHPを回復。なら弓を持ったのを倒そうと土属性の魔法を使えば、短剣コボルトを回復……これを倒そうと土が苦手とする火魔法を使ったら剣盾コボルトが……。凄い悪循環ね」

「その通りだエリュテイア君!」


 なんでそこでドヤ顔してんだよ、教授は。

 まぁつまりところ、そういう事で厄介な状況ではあるんだよな。

 物理範囲で殲滅するっていうのもあるが、広い範囲攻撃となるとハンターかレンジャーの弓攻撃だよな。

 ただ剣盾なり短剣なり、あるグループを全滅させるとコボルトキングが追加を呼んでしまう。

 しかも全滅したグループだけじゃなく、四グループ全部をまとめて召喚しやがるから、どんどん数が増えるっていうね。


「最初に召喚された時点で決着を付けねえとな」

「だねぇ。まとめて全滅させるとなると、結構厄介だよね」

「物理範囲だと盾持ちのエリートが、どうしても残ってしまうっすね」


 剣盾と棍棒盾。この二グループは防御力が高いだろう。短剣と弓が先に全滅する形になってしまう。

 そもそも、全部揃って倒せたとして、やっぱり追加召喚されますってなると元も子もない。

 他に手があるとすれば――


「全グループのうち、一匹だけ残して殲滅する……とか?」


 面倒ではあるが、たぶん確実に追加召喚されないパターンだ。


「そうだな。まずは試しに、最初の召喚に関しては同時殲滅も考慮しよう。それでダメならカイトの言ったように、それぞれ一匹だけ残して殲滅だ」

「同時にかぁ……エリートを小さくまとめて近接職含めて、一気に範囲攻撃しかないな」

「最初のエリート召喚は、コボルトキングがこちらに気づいたときに行われるから、コボルトキングのタゲを鋼氏にシールド系スキルでヘイト取って貰って、エリートは俺が『タウント』で抱えるよ」

「じゃあロックにエリートのタゲを抱えてもらって、ちょっと脇のほうで一斉殲滅するか」


 という事でひとまず作戦を決定。

 その先にまた問題が発生するかもしれないが、なんせ手探りな状況だ。一つずつクリアしていくしかない。

 しかし……。


「はぁ、上手くいけばエリートコボルトでレベルアップするかもと思ってたんだが。まさかの経験値ゼロパーまで下がっちまったぜ」

『カイト様は合計十二回のデスペナでしたね』

「げっ。そんなに死んでたのかよ」


 レベルダウンシステムがあったら、確実に一つは下がってたな。

 どうやら他のメンバーも、ほとんどの奴等がゼロパーまで下がったらしい。

 こんな事ならレベルが上がったらさっさと攻略するんだったぜ。


 ん? まてよ。

 今ゼロパーなんだったら、これから幾ら死んでも一向に構わないんじゃねえか。


「な、なぁ。リベンジ、今から行かないか? 今なら何十回死のうが、もうデスペナも痛くねえし。寧ろ間を置いて狩りでもしようものなら、せっかく稼いだ経験値がまたパーになっちまう」

「私はまだ18%残っているのだがね」

「あと二回、死ねば、ゼロパー。ね、教授」


 みかんがニヤリと笑っている。こわひ。

 他にも微々たる経験値が残っているのもいたが、これ以上稼いで更に減るとなると痛いってことで――


「よし。リベンジだ!」

「「おぉー!」」


 という事になった。

 その前に昼飯だ。

 飯を食ってポーションを追加製薬して、準備が出来たら突撃っ。






 昼の二時を過ぎた頃。再びやってきましたコボルトの砦へ。

 先客がいれば待ち時間が発生する。

 で、先客はいた。いたんだが、どうも様子がおかしい。

 中に入っていった奴等は暫くして出てくるが、皆無傷だ。コボルトキングと戦闘したようには見えない。

 別の先客が続いて入っていくが、数分もすると全員出てくる。


「ねねっ、なにかあったの?」


 コミュ力の高いナツメが、出てきたレイド組に声をかけに行く。

 俺も後ろで話を聞いていると、


「コボルトキングが家出してんだ」


 という、有り得ないような言葉が聞こえた。

 家出って、どういうこと?

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