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117:レベリング一日目。

 晩飯を食いながら料理人メンバーにもレイド攻略の話をすると、彼らからも協力の申し出があった。


「ステータス補正の良いメニューを開発するよ!」

「ラーメンは戦闘中には食べれんけん、うーん、スナック菓子みたいなのが作れればいいんやけど」

「ポテチは簡単そうじゃない?」

「ステータス効果が付くのに一袋食べなきゃダメとかね」

「レイド攻略する頃には皆太ってそうやね」


 それは勘弁して!

 っという俺の心の叫びは、女子たちによって見事に発信された。


 移動用、戦闘用とにおやつ感覚の料理メニューを開発すると意気込む料理人。

 転職を目指すメンバーと、彼らを引っ張るメンバーが今夜からもレベリングに向かうと言う。


「俺も睡魔が出るまでレベリングするかな」

「ギリギリまで戦闘するなら、帰還要員と一緒に狩るか、アイテムを貰っておいた方が良いよ」

「アイテム?」


 ナツメはそう言ってアイテムボックスからビー玉を取り出した。


「これ、『リターンボール』と言って、支援ギルドで交換できるアイテムなんだ。1Bポイントで交換できるよ」

「うへっ。マジか」


 使い捨ての消耗品で、地面に叩き付けて割ることで『リターン』魔法と同じ効果を発するらしい。

 そんな便利なアイテムがあったとは。

 そういや支援ギルドはここ最近行ってなかったな。ポイント溜めなきゃと思ってたのに、2次転職目前で必死になりすぎてた。

 1Bポイントかぁ。

 名前変更アイテムが500ポイント……い、1Bぐらいなら……。


「オレと狩り行きますかー?」

「お、クィントも行くのか。帰還と支援要員ゲット」

『ワタクシもお供します』

「あ、俺も行きたいっす」


 じゃあ……という事で、4人パーティーを組んで夜のレベリングへと出かけた。






 クィントの帰還魔法リターンでゾエという小さな町に飛んできた。砂漠の手前にある小さな町なんだが、まさかさばくで必死レベリング?

 いくらなんでも適正レベル+7はやりすぎじゃね?


「ゾエの周辺は45モンスターなのデース」

「昼夜でモンスターの配置が変わらないんっすよ、ここは」

「あ、そうなんだ」

「砂漠に入ると、途端にレベルが上がって死ぬデスが」


 町より北に行かなければ危険は無い。ということか。

 町から出てライドホイッスルを吹き、4人と4匹で移動する。

 俺の視界は夜でも快適だが、他の三人はそうはいかない。もっすんがランタンを腰に下げて目印代わりになっている。


 数分も走れば狩場へと到着だ。


「じゃあ明かりを点けるよ。『ホーリーランタン』」


 クィントが魔法を唱えると、あたりを照らす魔法の明かりが宙に浮く。

 昼間ほどの明るさは無いが、目前の敵と戦闘するぐらいは出来る。それプラス、遠距離職であまり動き回らないもっすんがランタンを腰にぶら下げたままだ。


「この魔法、微妙な聖属性ダメージも入るのデス」

「何? 性属性? さすがだなクィント」

「hahaha。それほどでもアルよ」


 お前が言った『せい』と俺が言った『せい』は違うんだけどな。気づいてねーだろ。


 さて、明かりが点くと寄って来る生き物がいる。

 パサパサと乾いた音を立て飛んでくる(・・・・・)のは、以前にも見たモス系モンスターだな。




---------------------------------------------------


 モンスター名:サンドモス

    レベル:45


---------------------------------------------------




 砂の蛾?

 それにしても、このサンドモス……


「デザインがモスガーとまったく同じなんですけど?」

「あ、やっぱり同じっすか? 色が違うみたいっすけど、同じデザインっすよね」

「MMOではあるあるなのデス。デザイナーさんは忙しいのデスよ」

『そ、そうです!』


 確かにネトゲじゃ、まったく同じデザインの色違いモンスターなんて昔から仕様と化している。下手するとNPCまで色違いだしな。

 50センチほどのサンドモス。こちらはモスガーと違い光ることもなく、全体的に地味な――いや、蛾っぽい色合いだ。

 それが5匹ほど飛んできた。


 やっぱこのサイズのリアルな蛾は不気味だな……。

 クィントの『ホーリーランタン』内に入って来たサンドモスは、ダメージ7を食らいながらクィント目指して羽ばたく。

 クィントはDVOのステが5だから、回復量だけじゃなく聖属性魔法のダメージもゴミなのか。


「ってい」

『とう!』

「ッシュ」


 俺、受付嬢、もっすんが一撃を入れると、ヘイトをあっさり奪えた。


「クィント、2匹相手にできるか?」

「平気デース」

「じゃ……『スティール』」

『『スティール!』』

「え? あの? 早く倒して援護して欲しいデスけど?」

「まぁまて。初めて見るモンスターだし、どんなアイテムをドロップするのか見てみたいじゃないか」

『装備品か生産素材だといいですね。『スティール』あ、盗めましたー』

「ドロップなら倒せば見れるデスよぉー!」

「っぷくくくく」


 本気なのか冗談なのか解らない悲痛そうな叫び声を上げるクィントの後ろで、地味にピシピシ矢を射るもっすんが笑っていた。


 不真面目に『スティール』で遊んだのは初戦だけ。

 出来るだけ早くレベルを上げる為に、その後は真剣に、MPの残量も気にせず狩りまくった。

 誰か一人でも『睡魔ゲージ』が出たら帰宅する――という事で、やや草木の少ない平原で狩り続けた。


 一番初めに『睡魔ゲージ』が出たのは受付嬢。

 日付けの変わった2時過ぎだ。


『申し訳ありません。もう少し続けたかったのに……』

「気にするな。どうせ俺らもそろそろゲージが出るだろうし」

「そうデス。帰って寝て、起きたらまた狩るデスよ」

「そうっすね。皆一つずつレベルも上がったし、なかなか良い効率だったっすよ」


 全員がレベルを一つ上げれたが、受付嬢が上がった後に俺が上がったってのを考えると、昼間のソロ狩りではこいつに遅れを取ってたみたいだな。

 まぁ森の中を『クローキング』してチワワ偵察してたからなぁ。


「帰ったらシャワーでも浴びて、それからスキル欄と睨めっこだな」

『ワタクシはシャワーを浴びたら眠らせて頂きます。スキルは明日、考えることにいたします』

「シャワー……ゴクリ」


 ゴクリ――などとぬかすクィントに正拳突きをお見舞いする。

 PK警告メッセージを出さないままの突っ込みも慣れたものだ。


「うっうっ……そ、それじゃ『リターン』」






「シャワーシャワーっと……」


 ファンタジーな世界だが、風呂は近代的だ。というか温泉宿風というべきか。

 女子たちが無駄に風呂に金を掛けたがるから、仕方なく3種類の風呂から選べるようにしたもんだが……。金を掛けてよかったと思ってるよ。

 室内なのに、星空の見える露天風呂だったり、海の見える岩風呂だったり、あとは普通の風呂だったり。その日の気分で風呂を選べるんだもんなぁ。この辺はNPCの宿と同じ設定だったけども。


「シャワーだけなんで普通の風呂で十分」


 っと一人呟く俺。

 クィントともっすんは海の見える岩風呂に行っている。

 あの風呂、人魚の目撃情報があるんだよなぁ……。なんて無駄な設定だよ。

 どうせ二人は下心ありありで行ったんだろうけど、どうせなら海に引きずりこまれればいいのに。


 さっさと風呂を上がって自室に向った俺は、ロフトを登ってベッドに転がった。天井・・の窓に視線を向け、次にタブレットを出す。


「戦闘中にスキルが発生したっていうメッセージが出たが、モンスターの数が多くて確認してる余裕も無かったんだよな。さて、どんなスキルが出たのやら」


 スキルツリー画面には、2次職スキル欄に『カオス・スラッシュ』というスキルが追加されていた。

 スラッシュ――っていうと、やっぱ『シャドウスラッシュ』からの派生だろうか?

 確かに俺のメインスキルだから、頻繁に使ってたもんな。

 えーっと、効果のほうは――




-------------------------------------------------------------


【スキル名】カオス・スラッシュ

  【効果】敵対象に強烈な一撃を見舞いする。一定確率で混乱を付与。

       混乱した対象は、対象の味方を攻撃しはじめる。


-------------------------------------------------------------




 おぉ。物理攻撃プラス混乱か。自分がこの手の状態異常に掛かると、かなりイラっとさせられるんだよな。

 ぼっちだと、味方なんていない分、なーんにもしないで呆然と立ち尽くすだけだったりするんだよな。VRでこれやられると、意識はハッキリしてる分、相当焦る。たまに踊ったりするし。

 面白そうだし、乱戦の時には有効そうだ。

 スキルポイントも5あるし、バーストよりこっちを優先に上げておくかな。




◆◇◆◇◆◇◆◇


 名前:カイト

 レベル:42

 職業:アサシン / 種族:ケモミ族

 

 HP:5600

 MP:1590


 STR:100+58 → 100+60

 VIT:17+51  → 17+53

 AGI:120+63 → 120+66

 DEX:15+15

 INT:5

 DVO:5+1

 LUK:10+7


 SP:21

 スキルポイント:1


●アクティブスキル●

『石投げ』『足払い』『スティール:LV2』『シャドウスラッシュ:LV5』

『バックステップ』『カウンター:LV5』『ハイティング:LV3』『クローキング:LV2』

『スタブ:LV1』『スタンブロウ:LV3』『アヴォイド・ブースト:LV3』


『シャドウ・バースト:LV1』『カオス・スラッシュ:LV5』


●パッシブスキル●

『短剣マスタリー:LV5』『ダブルアタック:LV5』『二刀流』


●修得技能●

【格闘:LV52→54】【忍耐:LV49→51】【瞬身:LV57→58】

【薬品投球:LV27→29】

【岩壁登攀:LV15】【ポイント発見:LV32】【採取:LV29】【製薬:LV20】

【採掘:LV7】【裁縫:LV1】【伐採:LV10】【植林:LV5】【栽培:LV4】

【神速:LV6→8】【格闘王:LV2】


 技能ポイント:0


○技能スキル○

『巴投げ:LV12』『ポーション投げ:LV20→22』『素材加工:LV12』『ポーション作成:LV19』

『電光石火:LV25→26』『ポーションアタック:LV4』『正拳突き:LV1』『助走』

『急所突き』


●獲得称号●

【レアモンスター最速討伐者】【最速転職者】【ファースト・クラフター】

【ファースト・アルケミスト】【ダンジョン探求者・パーティーバージョン】

【鉱山を愛する者】【ソルトとの友情】


◆◇◆◇◆◇◆◇

更新が不定期化します。

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