表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/160

109:新居紹介。

本文最下部に新居の間取り画像がございます。

ただの自己満足です。

 しっかり金も毟り取られ(27万G……)店を出ると、そのまま工房へと向う。別に製薬をする訳じゃない。プレイヤータウンへの入り口が工房にもあるからだ。

 が――


『カイト様。ワタクシ、その……ちょっとお仕事を頼まれまして』

「仕事?」

『はい。その、データ処理の仕事を』


 データ?

 あぁ、そうだった。こいつはサポートAIだったんだよな。

 最近はこいつがサポートAIだってのを忘れがちになる。なんせずっと一緒にレベリングだの採取だのやってるもんだから、俺の専用お友達NPCって認識になりがちなんだよな。


『30分ほどで戻りますので、先に自宅へとお戻りください』

「あぁ、解った。んじゃ製薬でもやってるかな」

『店頭にお立ちになられては?』

「……い、いってらっ」

『はい。いってまいります』


 話をはぐらかして受付嬢を行かせる。

 一人で店頭に立つのは、やっぱりまだ慣れない。


 工房にある転移装置を使ってプレイヤータウンへと移動すると、そこは俺の――俺たちの住居の目の前だ。

 相変らず、家の前には人だかりが出来てるな。


 他のプレイヤータウンエリアにも無い、見事な複合店だからなぁ。ここだけで飯から買い物まで、全部済むってのが良い。

 装備としての性能重視の物から、完全にネタ趣味装備でしかないコスプレ衣装まで揃ってるし、男女合わせて人気の高い店なんだぜ。

 家であり店でもある建物の外にある人だかりは、装備や消耗品目当てというよりは、飯屋目的の客だけどな。

 和洋中、さらにはスイーツなんかを得意にしている料理人も居て、飯時じゃなくても客が来ていたりする。

 繁盛しているのはよきことかな。


 そんな人だかりを横目に建物の裏手へと回り、住民専用玄関から中へと入った。

 入って直ぐに玄関ホールがある。

 ソファーやテーブルを置き、住民誰もが寛げるスペースだ。俺たちの食堂も兼用している。

 が、誰もいない。

 料理や生産メインでやってる連中以外は、皆狩りに行っちまってるからな。

 階段を下って地下へと向うと、そこに工房がある。料理以外の生産は全てここで出来るように設備を整えた。

 その分金も掛かったが、工房を利用する住民で割り勘したので一人あたり2万G程度。


「ぬ? 転職を済ませたようであるな。ほほぉ、暗殺者らしい出で立ちではないか」

「おお。鋼のおっさん。転職祝いくれ」


 先客であったVIT狂の鋼のおっさんに、冗談で手を出したんだが――


「よし、くれてやろうっ!」

「え? マジで?」


 っと目を輝かせたが、貰ったのはハンマーの一振り――


「ちょ、殺す気かよ!」

「安心せい。システムが警告してこんのだ、殺意なんてあるわけが無い。ふはーっはっはっは」


 確かに、ハンマーを振り下ろせてるんだから、PKの意思無しとシステムには判断されてるってのは解る。

 解るが……いや、例え鋼のおっさんのハンマーを食らっても、対したダメージはこねえだろうな。なんせこのおっさん、VIT以外は最低数値の5しか無いっていうし。


「鋼はまた盾作ってんのか?」

「うむ。良い素材が手に入ったのでな、防御力が1でも上がれば万々歳での」


 どんだけ防御命なんだ。ってか武器はどうしたんだよ武器は? 2回ほどパーティー組んでみたけど、盾以外持ってるの見た事無いぞ。


「攻撃無しでよくヘイト維持できるよな」

「攻撃はしておるであるよ。盾を使った攻撃スキルは幾つかあるのでな。それに、儂の盾にはヘイトアップ効果がついとるからの」

「2枚盾両方にヘイトアップ付けてるのか?」


 頷く鋼。

 しかもパーティー用盾とソロ用盾で、効果の違う盾をいくつも持っているらしい。すげぇ。


「そういう物ではないのかの? 盾職はパーティーメンバーを守ってこそである。ヘイトが維持できぬ盾など、ただの木偶の坊であるよ」


 言い切りやがった。

 だが実際、ゴミ火力なくせに鋼のおっさんのヘイトコントロールは上手い。スキルもがんがん打って、CTもきっちり計算してるようだし。

 その分、MPの減りもエリュテイアと比べてかなり激しいが。

 お陰でMP回復ポーションを大量に買って貰えるので、こちとらお得意様をゲット出来てるんだけどもな。

 さて、俺も製薬するか。






 製薬を済ませて玄関ホールに上がり、ソファーに座ってタブレットを凝視。

 2次職に転職したことで、レベルは41になっている。転職ボーナスのスキルポイント+レベルアップ時のスキルポイントで合わせて6ポイントをどうするか……。




◆◇◆◇◆◇◆◇


 名前:カイト

 レベル:41

 職業:アサシン / 種族:ケモミ族

 

 HP:5450

 MP:1560


 STR:100+58

 VIT:17+51

 AGI:120+63

 DEX:15+15

 INT:5

 DVO:5+1

 LUK:10+7


 SP:16

 スキルポイント:6


●アクティブスキル●

『石投げ』『足払い』『スティール:LV2』『シャドウスラッシュ:LV5』

『バックステップ』『カウンター:LV5』『ハイティング:LV3』『クローキング:LV2』

『スタブ:LV1』『スタンブロウ:LV3』『アヴォイド・ブースト:LV3』


●パッシブスキル●

『短剣マスタリー:LV5』『ダブルアタック:LV5』『二刀流』


●修得技能●

【格闘:LV52】【忍耐:LV49】【瞬身:LV57】

【薬品投球:LV27】

【岩壁登攀:LV15】【ポイント発見:LV32】【採取:LV29】【製薬:LV20】

【採掘:LV7】【裁縫:LV1】【伐採:LV10】【植林:LV5】【栽培:LV4】

【神速:LV6】


 技能ポイント:1


○技能スキル○

『巴投げ:LV12』『ポーション投げ:LV20』『素材加工:LV12』『ポーション作成:LV19』

『電光石火:LV25』『ポーションアタック:LV4』『正拳突き:LV1』『助走』

『急所突き』


●獲得称号●

【レアモンスター最速討伐者】【最速転職者】【ファースト・クラフター】

【ファースト・アルケミスト】【ダンジョン探求者・パーティーバージョン】

【鉱山を愛する者】【ソルトとの友情】


◆◇◆◇◆◇◆◇




 ステータスはこれでよしと。将来的にはAGIとSTRをカンストさせるつもりだが、その前に『リミッター解除』の恩恵がどんなものか確認したい。

 とりあえずAGI120もあれば、適性モンスターからの回避は99%確定だし、寧ろ必中攻撃でもないと食らわないだろ。

『リミッター解除』は転職前に一度使ってみたが、ステータスポイント5の1.5倍なんて端数切捨てで7しか上昇せず、正直微妙過ぎた。

 だが、20ポイントある状態で『リミッター解除』すれば1.5倍で30だ。STRに全振りすれば、3分とはいえ、かなりダメージ量が上がるだろう。ボス戦なんかだと有効に使える――ハズだ。

 第一、他のステに振るにしてもなぁ。


 INTやDVO上げてMP増やすか?

 どんだけスキル連打しても枯渇しないMP!

 ポーションで足りてる現状、無駄でしかない。


 VITで防御を固める。

 回避してるのでそもそも必要ない。防御を上げてても、死ぬ時は死ぬ。特に魔法ダメージには弱いからな。


 DEXで命中率や詠唱速度を上げる!

 命中率は適正モンスター相手なら、既に98%確保できてるので必要ない。

 接近職のスキルは詠唱なんてほぼ皆無。


 LUKで完全回避、クリティカルヒット率を上げる。

 ここは悩みどころだ。あったらいいかもとは思うステータスだからな。

 でも、『リミッター解除』も気になるところなので、これが微妙だったらLUKに振ってもいいかなーっと。


「問題はスキルだな……なんだ、このスキルページは……」


 タブレット画面を切り替え、スキルツリーが表示されているページを開いてからの第一声。

 1次職のスキルツリーは完成している。スキルポイントを全部使ってしまわないと転職できないシステムだったからな。

 現在6ポイントある訳だが、そこに表示されているスキルは、たった一つ。




-------------------------------------------------------


【シャドウ・バースト】

 武器に流し込んだ『殺気』を放ち、黒い波動によって敵を切り刻む。

 小範囲攻撃。範囲内の敵に与えるダメージ総量はスキルレベル依存。

 総ダメージ量を範囲内の敵数で割った数値が、一体あたりに与えるダメージとなる。


-------------------------------------------------------




 おおぉ!

 初の範囲攻撃!

 が、範囲内に敵が多いと、一体あたりのダメージが減ってしまうのか。


 で、これ以外のスキルが出てないんだが……2次職のスキルってどうなるんだよ。


 玄関ホール兼リビングでうんうん唸っていると、扉が開き、五月蝿いのが帰ってきた。


「モリアーティーが今帰ったぞっ!」


 まるで『ばーんっ』なんて擬音が似合いそうな、そんな帰還の仕方をしやがる。

 第一、ここに誰もいなかったらタダの独り言でしかない。恥ずかしい奴だ。


「ほむ。カイトはやっと転職したのか」

「やっと言うな。これでも全体のプレイヤーから見れば、比較的早いほうだろ」

「廃人レベルでは遅い方だ」

「俺を勝手に廃人認定するな。俺はプチ廃人なんだからな」

「プチだろうと変わらないだろうに」


 教授モリアーティーは一昨日転職を済ませているし、こいつに聞いてみるか。


「なぁ、2次のスキルツリーって、お前はどうなってんだ? なんかスキルが一つしか無いんだが」


 帰宅したばかりの教授は、俺の向かい側のソファーに腰掛けて、アイテムボックスから水筒を取り出した。その中身を一気に飲み干す。


「っぷはぁー。あぁ、それか。私も転職したときには一つだったぞ。ちなみに他の職業もみな同様に一つらしい」

「そうなのか……どうやってスキルツリー増やせってんだ」

「んむ。それなんだがな、どうもプレイスタイルが関係しているようなのだ」


 プレイスタイル?


「転職後の戦闘データなのか、それまでの物なのか、とにかく本人の戦闘時の行動次第でスキルが発生するようなのだ。例えば――」


 例えば、教授と同じ魔導師ウィザードに転職したみかん。この二人を比べても、発生しているスキルが違うとの事。

 教授はどのスキルも満遍なく使い、無駄なMP消費を避けてスキルレベルも調節する几帳面なタイプだ。

 対してみかんは、炎系魔法が好きで、炎が無効化されるモンスターでなければほぼこれ一本で行く。ただし炎系魔法の種類が多いので、それを使い分けるぐらいはしていた。更に、MP残量は気にせず、常に最大火力だ。


「私とみかんは2次職になった時には、同じスキルが表示されていた。『フレイム・ボム』という、『ボム』の上位スキルだ」

「みかんが歓喜しただろうな」

「だと思う。私はこのスキルを取らず、いつものスタイルで戦闘を続けていた。で、昨日の朝までに新しいスキルが一つ出ていたのだが、それはみかんも同様だった。

 私のスキルツリーに現れたのは『MPセーブ』といって、消費するMP量をスキルレベルに応じて減らしてくれる効果がある。

 みかんのスキルツリーには、確か『フレイム・サークル』という範囲攻撃魔法だったかな。しかも多段HIT型だった」


 ちなみに、夜中のレベルアップの時に新しいスキルが発生したらしい。

 それが――


「『アース・スパイク』だ。単体攻撃だが、1次職のときには無かった地属性魔法になる」

「1次で使える属性攻撃を満遍なく使ってるから、新しい属性が生まれたのかね?」

「さぁ、それは解らないが。ほかの魔法使いのパターンも見てみない事には何とも言えないな」


 けど、やっぱり戦闘時の行動でスキルがどうなるか決まってくるんだろうな。

 同じ職業でも2次職後にはスキルのタイプが分かれる仕様か……こういうのって、違いがハッキリ出るのは魔法職だろうなぁ。

 どの属性を好んで使ってるかとか、如実に出るだろ。


 俺は――まぁ範囲スキルは欲しいし、『シャドウ・バースト』は取る。レベル1で様子見だ。


 再び玄関の扉が開き、今度は受付嬢と――あれ? アオイも付いていってたのか。


『只今戻りました』

「ただいまだぉ〜。あのねっあのねっ、カイトのねぇ――」

『まだだめですっ!』

「むぐむぐむぐぐぅ〜」


 何をやってるんだ、あの二人は。

 何かを言おうとしたアオイの口を受付嬢の奴が塞ぎ、そのまま引きずるようにして二階へと上がっていく。


『あ、カイト様。今夜はご馳走だそうですよ』


 階段を上る足を止め、受付嬢が振り返る。


「ご馳走? そりゃまたなんで?」

「大家の転職祝いだ」


 っと教授が言う。


 え?

 お、俺の転職祝い?


 ちょっと、

 いや、

 激しく嬉しいんですけど?


「おお、喜んでる喜んでる。まったく、君は表情こそあまり動かないが、尻尾はよく動くな」

「五月蝿い。見んな」

「だが断ろう」



 新居1階間取り

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ