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97:コスプレパーチー。

(自分に)祝!

総話数100話目突破!

 サンダーボルトには丁重にお断りを入れて解散となった。

 別れ際になんと、奴からフレンド要請を受ける事に。


「もし気が向いたら声を掛けてくれ。そうじゃなくても、よかったらパーティーを組んで遊ぼうぜっ」


 っと、真っ白な歯を光らせて、どこまでも熱い奴だ。


 しかし、本日3人目のフレンド!?

 これって死亡フラグなの? ってぐらい、幸運続きなんですけど。

 不安になりつつも解散後、一人ぼっちとなった俺は広大な更地の前で立ち尽くす。

 俺の土地240坪。だがその周辺の土地もずーっと更地なので、余計に孤独感が増すな。

 まぁ向かい側を見ればマンションというか、木造の3階建て集合住宅があるんだが。そこにもまだ人がやって来てない。


「やっぱ天空だの海だののエリアが人気なんだろうなぁ。今のうちに家の間取りでも考えるか」


 とは言ったものの、240坪にどんな家建てるんだよって話。

 えーっと、リアルな俺ん家はマンションで、3LDKだ。あれで何坪ぐらいなんだ?

 っと考えても解る訳もなく、適当にハウスシステムを操作してみる。


 便利な事に、自動間取りシミュレーターなるものが備わっていた。

 土地の広さ、庭を作るかどうか、1階建てにするか2階建てにするか、その他チェック項目を弄って決定を押すだけだ。


 えーっと、土地の広さ240坪。庭……いらねぇ。1階が店舗で2階が生活スペース。寝室は二つ。リビング一つでいいな。

 トイレ、風呂、工房設置にもチェックっと……。


 えーっと……店舗スペースが400帖……畳み400枚……


「誰がこんな糞でかい店にしてくれと言った!?」


 2階の寝室がそれぞれ100帖、リビング150帖。

 おいおい、トイレが30帖って、どんだけだよ。


 なら庭付きにチェックして1階建てに……。

 庭が一軒分。店舗80帖、寝室それぞれ50帖。工房が20帖でリビング120帖、残りが風呂トイレ。


 結論。

 俺と受付嬢、アオイの3人で240坪の土地は無駄でした。






 土地の契約はしたので住む家の事は後回しにしよう。

 とりあえず受付嬢と合流するかな。

 公園に向うと、意外な事にプレイヤーの姿が結構あった。どうやら公園の向こう側からも通じる道があったようだ。

 そこで見たのは、イントネーションのおかしいエルフ男。


「マンションどこデスかー?」


 どこって、直ぐそこなんだが。

 ただこの公園、高い木々が生い茂ってるのもあって、ちょっとした森のようにもなっている。そのせいで建物も見えないんだろう。

 しゃーない。


「おいクィント! そこのエロ神官っ」

「oh。カイトー」


 すぐに俺の声に気づき、何事も無くこちらへと向って来た。いや、腕をぶんぶん振り回して攻撃態勢だ。

 だだだーっと走ってきて


「誰がエロやねーん!」

「なんで関西弁なんだよっ」


 パンチを繰り出すクィントの腕を掴み、抱え込むようにして肘を奴の顎に突き出す。

 ん?

 戦闘行為は禁止じゃないのか?

 いや、もしかして本気の闘争じゃないから、システムが感知してないのか。


「カイトはここのエリアデスか」

「あぁ。最速入場者とかで、240坪の土地をタダで貰えたぜ」

「What! なんて幸運の持ち主デスか! 羨ましい羨ましい一部屋Please」


 一部屋プリーズ?

 ……その手があったか!


「いいぜっ。ただし金は貰うぞ。建設費用が掛かるからな。その代り、内装とかは自由にしていいぜ」

「え? 本当ですか? 冗談のつもりで言ったデスが……」

「いやいや、マジだ本気だ。実はな――」


 ここでさっきやったシミュレーションを見せる。

 広すぎる店舗。広すぎる寝室。広すぎる風呂。広すぎるトイレ。

 それを見てちょっと同情するような声を漏らすクィント。


「シェアはオッケーです。ですが、オレが加わった所で、ベリベリ広いのは変わらないデスよ」


 ……それもそうだ……他にシェアできそうな人でも探すのか?

 え? 探すのか!?

 どどどどどどうやって探すんだよっ。パーティー募集と、わけが違うんだぞ?


 同居しませんか?


 とか、変態だろ!






「え? シェア? 240坪の家? なにそれ、随分大きいじゃない。そんなに大きいなら……うん、別にいいけど」

「い、いいのか?」

「いいですよぉ〜。受付嬢さんやアオイちゃんとも一緒だし」


 クィントを連れて宿に戻ると、何故かエリュテイアとココットの二人がそこに居た。

 挨拶する前にクィントの奴がシェアの話をはじめやがって、呆気なくOKの返事を貰うという。


「ところでなんで二人がここに?」

『カイト様と別れた後、お二人をお見かけしたのです』

「昨日の夕方こっちに来たの。朝からプレイヤータウンに行こうと思ったんだけどね……」

「物凄い人だかりだったんですよぉ。エリュちゃんと可愛いお家作りたいねって話してたんですけど、人が少なくなってからにしようって。それで町中歩いてたら、受付嬢さんとアオイちゃん見つけたんです」


 なるほど。初心者にスタダは厳しいものがあるよな。まず人だかりに耐える所から始めなければならないし。

 で、宿に来て一緒にアオイのファッションショーを見ていた、と。

 そのアオイは変態コスプレイヤーの楓と、部屋の隅にシーツで作られた更衣室に入っている。


「お待たせいたしました〜。これより、アオイちゃんのコスプレ撮影会を行いま〜す」


 おいおい、コスプレ撮影会って、どういう事?

 エリュテイアとココット二人は拍手をして楽しそうにしているし、受付嬢は真顔で手を叩いたりしている。

 オレとクィントが首を傾げる中、シーツの奥から登場したアオイは――


 薄いピンク色の体にピッタリなワンピース。やたら短いスカート丈で、尻尾が動くたび裾が持ち上がって際どい。

 頭にはワンピースと同じ色のキャップ……手には巨大な注射器。


「おちゅーしゃしましょうね」

「誰だ! 幼女にこんなセリフ覚えさせたのは!」

「oh……なんてマニアックなのでしょう」


 こんな変態ショー、誰が喜ぶんだよ!

 っと思ったら、女子が喜んでやがった。


 踊ってみたり弾んでみたり、危険な注射針を俺たちに向けてみたりと、アオイは楽しそうだ。

 ひとしきり衣装を見せると、再び楓と共にシーツの奥へと戻っていった。

 ったく、あんな格好で町中歩かせられるかってんだ!

 さっさと普通の服に着替えさせてくれ。


 シーツが開き現れたのは――


「真っ赤なチャイナドレスが眩しいっ! ポイントはここっ。スリットが側面ではなく、尻尾の下に入っているのです! 尻尾の下にあるこの黄色いチャイナボタンが外れてしまうと――きゃぁーおパンツ見えちゃうー」


 っと興奮気味に説明する楓。

 こいつ、もしかしてネカマプレイヤーなんだろうか。本当は男なんじゃなかろうか。

 だがしかし、この『レッツ』では性別を偽れない仕様だしな。女の中にもあんな変態がいるとは、知らなかったぜ。


 アオイも「きゃ〜」っとか叫びながら、尻と尻尾をフリフリしてやがる。

 ダメだ。楓に預けていたら、アオイが卑猥な幼女になってしまう。狐かーちゃんに見られたら、絶対食い殺されるぞ。


 再びシーツの奥へと戻っていき、次に出てきたのは――


「oh……バニーガールですか」

「狐の耳と兎の耳がミスマッチすぎねえか?」


 頭に兎のヘアバンドをつけたアオイ。しかも狐の耳の後ろ側にヘアバンドが来ているので、前後で異なる耳を生やしているように見える。

 だが問題はそこじゃねーっ。


「おいっ変態楓! 黒いバニースーツも問題だが、黒いスクール水着はもっと問題ありまくりだろ! しかも名前とクラス番号まで書いてんじゃねーよ」


 ややぶかぶか気味のスクール水着の胸元にはぜっけんが縫い付けられていて、「アオイ」と「1-1」という文字が書かれている。

 いったい、誰得なんだよ!

 俺はロリじゃねーし、横のクィントも流石に苦笑い浮かべてんぞ。

 こいつがロリコン属性を持ち合わせていなくてよかった。持ってたら今すぐ殴り飛ばして、シェアも無かった事にしなきゃならなかったからな。


 危険な水着バニーの後は、古典的なセーラー服。

 昨今じゃこんなセーラー服なんて、萌え絵ぐらいでしか見ないだろ?

 くるりと回転して見せるアオイ。スカートがふわっと開くと、そこから尻尾が顔を覗かせる。

 アオイじゃなく、高校生ぐらいの年齢ならエロかったかもしれない。


「本日はこれで最後! 私の最高傑作ですっ!」


 興奮しすぎの楓を見ると、もう不安しか無ぇ。

 登場したアオイの第一声は――


「ととさま、アオイはこれからおよめにいくぉ」

「……俺にどうしろってんだあぁぁぁっ」


 純白のウエディングドレスを着て出てきやがった。

 頭を抱える俺を楽しそうに見つめる女子とアオイ。

 肩をぽんっと叩いて同情するような目で見るクィント。


「さぁ、次はどんな衣装作ろうかしら! あ、もちろん私もシェアするわよっ。アオイちゃんの専属コーディネーターになるんだから!」


 シェアメンバーと心労ゲットだぜ……。






 女子たちがアオイの写真をあれこれ撮影し終えるまでの間に、俺はナツメと秀さんにフレンドチャットで状況を話す。

 せめて『まとも』な同居人が欲しい。

 最終的には一番無難なセーラー服を着せられたアオイ。せめて受付嬢とお揃いのメイド服ならまだよかったが、いや、寧ろ普通の服を作れと楓には伝えてある。

 作る気は……無さそうだ。


《って訳なんだけど、土地が広すぎて困ってるんだ。土地に対して小さな家建てるのも勿体無いし、だからって40帖の部屋なんてのも馬鹿みてーだし。、まだ家を決めてないなら、どうだ?》

《っぷは。カイト君って、一番乗り好きだねー。ボクは別にいいよ。ボクも鍛冶ショップ欲しいなと思ってたんだけどさ、でも一人で一軒家に住むのは虚しいだろうなーって思ってた所だったんだ》


 店舗スペースもシェアすれば、そこの問題は解決する。同じ生産じゃない分、客の取り合いにはならないし。

 そして秀さんの方は――


《240坪! えーっと、一般的な住宅6軒分じゃないか》

《あ、そんなにあるんだ。俺マンション住いだから、ピンとこなかったんだ。まぁそんな訳だからさ、1階を食堂兼店舗兼工房にして、2階を各自の部屋スペースにしようと思ってんだ。秀さんの料理人組合とかいうメンバーも、その、よ、よかったら、是非――》

《本当にいいのかい?》

《あ、ああ。人数多いほうがさ、建設費用だって一人当たりの支払い金額が少なくなるじゃん? 今さ、えーっと……》


 決定している住民は、俺、受付嬢、アオイ――は金の部分では頭数に入れられないっと、クィント、エリュテイア、ココット、ナツメ、楓。


《7人居るんだ》

《そうか。うん、解った。皆と話し合って、それから返事でもいいかい? 夕方までには結論だすよ》

《う、うん。それでいいぜ。俺はこれからケモミ族の村にいって、お使い終わらせてくるから》


 そうだ。ついでだし、材木集めもしとくか。建設費用が少しでも浮けば、皆が金を節約できるだろうし。


 ケモミ村までお使いをし、その足で材木集めをするという話を皆にすると――


「STR上がるですし、オレも行きまーす」

「あ、それなら私も行きたいわ。技能で上がるステータスって、ポイントを振れる上限の199とは、別扱いなのね」

『左様でございますね。技能でどこまでステータスを伸ばすかで、些細ではありますが違いが出ます』

「じゃあ私は裁縫技能使って、カーテンやテーブルクロスなんかを作るわ」

「わぁ〜。可愛いのお願いしますねぇ」


 裁縫技能でそんなのも作れるのか。

 楓はサラーマ居残り組決定。ココットも残って、糸作りぐらいは手伝うという。


「じゃ、皆で手分けして、少しでも建設費用を浮かせようぜ!」

「「おぉ〜」」


 ってことで宿を出て行くと、タイミングよくナツメと合流。


「お? サマナ近くの森で伐採するの? ボクも行くよ。技能レベル上げたいし」

「おぉ、人手が増えたな。んじゃ、急いで出発しようぜ。サマナ村まででも3時間は掛かるし」


 そこからケモミ村まで、更に1時間程になる。

 昼飯は歩きながら食える物にして、今から出発してもケモミ村に到着するのは3時過ぎるだろうな。

 オタル氏からの新レシピ伝授は、また今度にしてもらおう。

 今は、新年を無事新居で迎えられるように、気合入れて伐採しまくるんだっ!


『っという訳なのです、モリアーティー様』

「なるほど。シェアハウスであるか。面白そうだな。私も一部屋貰ってもいいだろうか?」

「はい?」


 俺がこれからの計画を脳内で立てている間に、いったい何があった?

誰得なお話が盛り込まれていました。

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