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五話

「何か売りはないの。」

「あったら貧乏してないよ。」

光一とゆかりは近所のマックに場所を変え、神社盛り上げ計画を練っていた。

ちなみにモスの方が近いのだが、二人が財布と相談した結果、少し歩いてマックにしようとなったのだった。

「返した一万円があるじゃないか。」と言ってはみたが、

「これは帰ってくる前提の生活費だもん。」であった。

「もし返ってこないときはどうしてたの。」と投げかければ、

「そのときは怒鳴りこ・・・私は光一くんのことを信じてたから。」と返された。

みえみえのウソも光一には耳触りが良い。

今の状況も『デートじゃないか』とうかれている。

「神主さんは光一くんのお父さんだっけ。」

光一はうなずく。

「光一くんが神主になったら。イケメンすぎる高校生神主ってどうかな。」

『イケメンすぎる』が心の中でリフレインする。

「イケメンだなんて照れるなあ。」

一方でゆかりはきょとんとしている。

「何言ってるの、若い男だったら誰だってイケメンって紹介されるでしょう。女性の好みって男性以上にばらけてるから、イケメンって言ったもん勝ちなのよ。」

「ゆかりさん的にはどうかな。」とは言えなかった。心が折れる、そんな気がするから。

「僕は資格がないから神主にはなれないな。高校卒業したら通信講座で取ろうと思ってるけど。」

ゆかりは少し肩を落とした。

「なんだ、資格がいるんだ。って、通信講座で取れるんだ。おどろきだわ。」

光一はポテトを口に入れた。

ゆかりはポテトをつかむたびに手を拭いている光一に少しイラッッとした。

「お父さんって特技とかないの。」

「んん、太鼓なら上手いけど。」

「太鼓の達人ってこと。」

なんら間違いではないが、『太鼓の達人』となると、違う太鼓を想像してしまう。

「何だか違うコンボになってるし。」

「じゃあ萌え寺ね。」

『じゃあ』が何に掛かっているのか。もはや『神社』でなく『寺』になっているし。

「萌え寺としてアニメキャラとコラボよ。」

光一は頭を抱えた。

「うちの寺じゃなかった神社は『丸手為神社』だけど、『まるでだめ』って言われてるから縁起悪くてコラボはまずありえないよ。」

「まるでダメなの。」

「うん。」

ゆかりまで頭を抱えた。

「祀り神は、そう祀り神はなに。それによっては可能性はあるはず。」

光一は大きな溜息を吐かざるを得なかった。

「丸手為比売っていうウミウシの女神様なんだけど・・・。」

光一は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

だが、意外にもゆかりは目を輝かせている。

「それよ、いいじゃない。」

ゆかりはなんだか遠くを眺めている。

薄ら笑みさえ浮かべている。

光一は不安な気持ちが湧いてきていた。




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