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進々章,ひとまずの終わり

誤投稿すみませんでした!


お詫びも兼ねて、一気に書き上げましたので、色々穴があるかもしれません!

概ねの流れは出来てたんですが、ユナ様が上手く動いてくれなくて……。


短めですみません!

「まさに『世界の愛し子』というべき流れかな」



 自らの描いていたシナリオより、よほど綺麗に訪れてしまった大団円に、ユナフォードは下の広場から死角になるように、一歩退いて表情を緩める。

 その微笑みはいつもの……詩織に胡散臭い王子様スマイルと言われるものではなく、ただただ安心して笑った素の笑顔だ。

 主の笑顔に、そこここで揺れる闇も、何処か安堵を滲ませている。

「これが『世界の愛し子』……」

 その兄の隣で呟くシウォーグは呆然と呟きながらも、兄と同じように安堵で精悍な顔を緩めている。

 兄弟の位置からは下の広場は見えないが、聞こえてくる声は王族と【世界の愛し子】達を讃えて、崇めるような声ばかりだ。

 多少の反発があろうとも、多数決の暴力が押し流してしまうだろう──この場では。

「それでも、きっと悪意は芽生えるだろうね」


 詩織が思い悩み堕ちかけたように。


 甘い囁きに惑った、幼いミシェルの侍女のように。


「……その為に、私達がおります」

 ユナフォードの呟きに応えるようにそこここで闇が揺れ、ゆらりと金の瞳をした黒衣の青年が現れて恭しく頭を下げる。

「おれだっている。……それに、あいつもな」

 フンッと鼻を鳴らしたシウォーグが睨む先にいるのは、【世界の愛し子】──正確には星だけを一心に見つめている銀髪の魔術師の姿がある。

「そうだね。敵にすると怖ろしいが、味方としてはとても心強い」

 ふふ、と歌うように微笑んだユナフォードは、王子様スマイルを装備して広場から見える位置へと進んでいく。

 ちなみにだが、目立ちまくるノウルはずっと広場から見える位置にいるが、護衛だろうと流されているようだ。

 ユナフォードがゆっくりと星と詩織へ近寄っていくと、広場からは歓声が上がり、時雨からは鋭い視線が注がれる。

【雨の竜よ。感謝いたします】

 竜言語ながら万が一誰に聞かれても構わないように、曖昧な言い回しでの感謝を告げるユナフォードに、時雨はその真意を推し量るような眼差しを向ける。

【時雨、大丈夫だよ。ゆなほーど殿下は味方だから】

 あ、竜言語でも言えないんだ、やっぱり。的な表情を一瞬浮かべた詩織だったが、さすがというかすぐに儚い美少女モードな表情で星をギュッと抱き締める。

 これは仲良しアピールではなく、何よこの可愛い生き物、な抱擁で、ついでにユナフォードへの軽い威嚇だろう。

 ユナフォードなら、ここで星と自分の関係を民衆へ後押しさせるために、キスの一つでもしてみせるんじゃないかと、ある意味思考回路の似ている詩織は思ったのかもしれない。


「ユナフォード殿下、本当にあの方は……」


「雨の竜と民衆の前で誓おう」


 誰に対する事かわからないように濁す詩織に、明言しないながらも大きく頷いて王子様スマイルで鷹揚に微笑むユナフォードを見た民衆は、やったぞ! とばかりに先程のアルファンの発言と時と同様に湧き上がる。


「とんだ狸と狐よね」


 民衆の湧き上がる声を浴びながら、詩織は抱き締めた星の首筋へ顔を埋めるようにしてポツリと呟き、苦笑いをする。

「詩織もユナ様も、格好良かったよ」

 黒目がちの瞳をゆっくりと瞬かせた星は、詩織を見て、民衆の声に応えるユナフォードを見て、詩織へ視線を戻して小声で二人を誉める。

【もう泣かないかい、愛しい子】

 その様子を微笑ましげに眺めていた時雨は、そう問いかけながら首を傾げてから、星へと鼻先を寄せる。

【もう平気。ありがとう、時雨】

【助けが欲しければいつでも呼んでくれて構わない。世界の果てからだろうと、飛んでいくよ】

 まだ民衆にも通じるようにしていたのか、時雨の発言に民衆がさらに熱狂して叫び、そろそろ倒れる者すら出そうだ。

 それを冷ます意味なのか、時雨がゆっくりと舞い上がるのに合わせて雨が少しだけで強さを増して広場へと降り注ぐ。

 それを嫌がる者がいる訳もなく、皆が空を見上げて雨の竜の姿を目で追い、もたらしたであろう慈雨を浴びる。


 そんな中、狙ったように誰かが叫ぶ。



「見ろ! 虹だぞ!」



「雨の竜様の祝福だ!」



「国王陛下万歳!」



「【愛し子】様万歳!」




 雨の竜がもたらした天気雨の中、空へかかった大きな虹。



 まさに狂乱となった広場へ、もう一度だけ揃って頭を下げた星と詩織は、アルファンとシルヴィーアと共にバルコニーの奥へと引っ込んで姿が見えなくなる。



「今日はありがとう」



「あんまり騒ぎ過ぎて、衛兵の世話になるんじゃねえぞ?」



 最後はユナフォードとシウォーグがそれぞれの一言で締めて、民衆からの歓声を背にバルコニーから去っていく。

 その背にはいつまでも惜しみない歓声が送られていた。




 色々波乱はあったが、目的を果たすための下準備は終わり、残るは一番の難敵であろう問題だけとなる。





 自ら進んで罪を認めて罪人となり、罪を償っている最中の本人を説得という、一番の難敵が。



「人の心は【世界】にはどうにも出来ないからね」



 そう呟いたのは誰だったか。

お待ちいただいてる方々、本当にありがとうございますm(_ _)m


誤投稿報告してくれた方も、本当にありがとうございます。

お優しい方で助かりました(。>﹏<。)メンタル弱いんで、これで罵倒とかされてたら、この作品非公開にして、しばらく引っ込んで出られなくなるところでした。

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