後編
どんな大きく無茶な願いも、今までずっと軽い返事で何でも叶えてくれたはずの、アラビア風の美女の姿をした『やかんの魔人』。ところが、Aの傍らに何十人も現れ続けている彼女は、大量の魔人の数を減らして欲しいと言う四つ目の願いに関して、一斉に無理だと口を揃えましたのです。
当然、理由も分からないAは何故なのか、と叫びました。自分は何でも成功に導く力を得たはずなのに、どうして今回のような全く上手くいかないと言う事態に陥ったのか、全く理解できませんでした。しかし、そんな彼を見た魔人たちは、はっきりとした口調である事を告げました。『最初の自分』がした忠告を覚えているか、と。
「一度叶えた願い事を、別の願い事で取り消す事は出来ない……
……そう言ったの、覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」覚えてる?」……
「……あああああああ!!!」
その言葉に、Aは愕然としました。願いを叶える事をずっと考え続けていた彼は、それらを取り消す事は不可能と言う第三の忠告が頭からすっかり抜けていたのです。
彼が意気消沈しようとしている間にも、二つのやかんからは大量の煙が溢れ続け、その中からは新たなやかんの魔人が数限りなく現れていました。今や床には収まりきれず、空中にも何十もの数の彼女が浮かび続けていました。前後左右どころか天井まで埋め尽くさんとする勢いの大量の魔人を消去させる事は、もう不可能なのです。
「うわああああああああああああああああああああ!!!」
大声で叫びながら混乱する頭を押さえ、押し寄せる何十、いやもはや何百と言う数にまで増殖した魔人を掻き分け、Aはこの部屋を脱出しました。いくら美女に取り囲まれると言う状況とは言え、あんなに大量の数が相手では喜びよりもむしろ恐怖の感情しか湧きませんでした。あのまま部屋の中にい続けたら、願いを叶える前に押しつぶされそうな勢いだったのです。とは言え、あの凄まじい様相の部屋さえ飛び出せば何とかなる
……そういう期待を胸に、部屋の外に広がる廊下や階段を見渡した彼の心は、あっという間に絶望に包まれました。
「あ、あ、あ、あ……」
既に廊下の中も、湯気を思わせる大量の煙に包まれていたのです。
左右どこを見ても、廊下の壁側にはやかんの魔人が潜んでいたあのやかんが置かれていました。それも一つや二つと言うレベルでは無く、煙に包まれて見えなくなっている遠方まで、延々と何百何千ものやかんが大量に並び、どれも沸騰するような音を立てながら大量の煙を充満させていたのです。目の前の廊下だけでもこの状態、この凄まじく広いAの豪邸のあらゆる場所に無数のやかんが置かれ、同じように煙を出し続けているのは目に見えて明らかでした。
そして、彼の目の前で次々に煙が塊を成し始めました。彼の目の前、右側、左側、そして廊下の天井、あらゆる場所に現れた煙はやがて人間の形を作り、そして……
「やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」「やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」「やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」「やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」「やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」「やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」……
短髪に綺麗な顔つき、大きな胸にセクシーなアラビア風の衣装……何もかも全く同じ『やかんの魔人』が、何百、いや何千という数で現れ、あっという間に彼の周りの空間を覆い尽くしはじめました。
四方八方を大量の美女に囲まれると言う状況ですが、今のAには一切の嬉しさは有りませんでした。とにかく無限に現れ続ける魔人を消す事しか、彼の心には無かったのです。しかし、それは無理だと言う無情な宣言が既に彼女から出され、彼の出来る手段はこの大量地獄から必死になって逃げる事しか有りませんでした。
ですが、豪邸の中を覆い尽した無数のやかんと大量の煙、そして何千……もしかしたら何万単位になっているかもしれないやかんの魔人から逃れる道は、もう残されていなかったのです。
「うふふ、願いを叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」……
「や、やめろおおおお!!」
あっという間にぎゅう詰めになった廊下で、前後左右、そして上下から大量の魔人に囲まれ、もはやAは身動きが取れない状況に陥ってしまいました。沢山の体や胸、そして腕にもみくちゃにされ続け、もはや脱出する事は不可能ではないか、と諦めかけたその時でした。彼の頭に、一つの願い事が浮かんで来たのです。確かに今までの状況を取り消す事は不可能ですが、それらを放置した上で自分だけ逃げてしまう、と言う願いならもしかしたら叶えてもらえるかもしれない……卑怯な考えかもしれませんが、この状況を打破するには、それしかありませんでした。
「き、聞いてくれ!!俺の四つ目の願い事だ!!」
そう言った途端、周りから一斉に全ての音が消え去りました。一瞬の出来事に驚いた彼でしたが、皆が自分の願いを聞いてくれる状況にある事を察知し、大声でその願い事を叫びました。
――自分を、別の世界へと逃げさせて欲しい、と。
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「……はっ!」
気がついた時、Aの体は小さなベッドの中にありました。
周りに広がっていたのは、数か月前……彼があの魔人と出会う前、単調で平凡な日常の中でずっとお世話になっていたマンションの自室でした。まるで悪い夢だったかのようにも感じられるほど、豪邸や財宝、そして大量の魔人ややかんが跡形も無く消え去っていたのです。
先程までの状況を表すかの如く汗だくになっていた彼は、今までの「夢」で見ていた出来事を思い返していました。何でも成功すると思いこみ、次々に欲望が膨らみ続けた結果、あのような恐ろしい事態になってしまったのかもしれません。他人の力に頼り切った願望など、最後には破滅しか待っていないでしょう。やはり、願いは自分の力で叶えるほか無い、そう彼は考えました。もしかしたら、今までの自分を改める心があのような「悪夢」を見せていたのかもしれません。
「……よし!」
心機一転、新たな一日を過ごすべく、彼はベッドから起き上がりました。
いつものように台所に置いてあったコンビニのお握りやパンを袋から取り出し、ペットボトルのお茶をコップに注ぎ、それらをテーブルの元に持って行った彼ですが、周りの様子がどこか「普通」とは違うような気がしてきました。電車や自動車、人々の出す雑音、そしてカラスの声……外から聞こえるはずの音が、何故か一切耳に入って来ないのです。ただ、この時はそこまで不自然な気持ちを彼は抱きませんでした。きっと何かの間違いだろうと勝手に解釈していたからです。ところが……
「あれ、おかしいな……」
朝のニュース番組を見ようとリモコンの電源を付けても、テレビが一向に反応しません。DVDデッキにあるデジタルテレビ対応のカードを挿入し直しても、リモコンの電池を変えても、画面に映るのは黒い映像ばかり、まるで最初から何も放送していないかのようにも感じられるほどでした。おかしい、と思いつつも、きっと壊れているのだろうと彼は再び自らの中で解釈をしてしまいました。
そして、出勤用のスーツを着こなし、外出の準備を整え、マンションの一室のドアを開いた彼の顔は……
「やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」「やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」「やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」「やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」やっほー♪」……
……一瞬にして青ざめてしまいました。
マンションの窓に見えていたはずの町並み、高架橋、駅といった風景は、ドアの向こうには一切広がっていませんでした。扉の外には、『やかんの魔人』が数限りなく溢れ出続ける空間だけが存在していたのです。
「うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」……
Aはずっと、今までの事が自らの頭の中で思い描いた「夢」であるとばかり信じ込んでいました。四つ目の願いを言う寸前までのあまりの非現実っぷりからすると、当然かもしれません。ですが、その現実を超越したかのような時間の中で、アラビア風の美女の姿を取った『やかんの魔人』は、一つの忠告を告げていました。
一度叶えた願い事を取り消す事は出来ない、と。
確かにAは、四つ目の願いを用いて別の世界へと移動し、心の奥底で願っていたであろうマンションでの平凡な暮らしに戻っていました。ですが、例え他の世界へと逃げ出したとしても、無限に現れ続ける『やかんの魔人』を取り消す事は出来なかったのです。
短い髪に大きな胸、お腹や胸の谷間を存分に出し続けるアラビア風の大胆な衣装に身を包んだ女性。遥か上空から奈落の底、そして空間のずっと遠くまで、あらゆる方角、あらゆる場所は同一の存在によって覆い尽くされていました。今までの出来事は全て「現実」であった事を容赦なく突きつけられたAは、数限りない笑顔に見守られながら、そのまま気を失ってしまいました。そして、彼の体はそのまま全く同一の言葉に包まれていったのです。彼の三つ目の願いが『成功』に終わった事を告げるかのように……。
「さあ、どんな願いも三つまで叶えてあげる♪」三つまで叶えてあげる♪」三つまで叶えてあげる♪」三つまで叶えてあげる♪」三つまで叶えてあげる♪」三つまで叶えてあげる♪」三つまで叶えてあげる♪」三つまで叶えてあげる♪」三つまで叶えてあげる♪」三つまで叶えてあげる♪」三つまで叶えてあげる♪」三つまで叶えてあげる♪」三つまで叶えてあげる♪」三つまで叶えてあげる♪」三つまで叶えてあげる♪」三つまで叶えてあげる♪」三つまで叶えてあげる♪」三つまで叶えてあげる♪」三つまで叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」叶えてあげる♪」……