はじまり
僕は、宮村 光 この春に無事に高校生になる。
母親と父親は僕が子どもの頃に離婚していて今まで母親に育てられてきた。
僕は最初母に負担をかけさせないために、中学を卒業したら働いてお金を稼ごうと思っていたが当時の先生と母に反対され渋々高校に通うこととなった。
正直僕は人付き合いが苦手だから高校生活を上手くやっていけるか心配だった。けど僕が通うことになる神北高校に親友の谷口 進も通うので学校生活で浮くことはないだろう。
そして今は学校の入学式が終わったあとの教室内、先生が来るまで教室で待機している。
「宮村、まだ高校生活は不安か?」
「いや、谷口が同じクラスだからなとかなりそうかな」
「お、嬉しいこと言ってくれるじゃん!」
そんなことを話して居ると先生が教室に入ってきた。
「みんな席につけー」
それから先生の長い話が始まった。
内容は学校生活で注意することなど、色々だ。
先生の話が終わるとその日は解散となった。
放課後、谷口が寄ってきて
「どうだ宮村、このクラスに可愛い子居たか?」
「ゴメン、女の子見てなかったから分からなかったや」
「はー?高校生活と言えば恋愛だろ?」
「でも僕今まで好きな人出来たことないよ?」
「ったく、悲しいやつだなーだから中学校の生活でも浮いちまうんだよー」
「仕方ないだろー、女の子と目合わせられないんだから」
「はー…宮村に恋愛は無理だな… そういうやつのことをコミュ症って言うんだぜ」
「はいはい、コミュ症でも構わないよ、ていうかそろそろ帰らない?」
「まあそうだなー、てかお前部活入るの?」
「いや、入らないよ」
「そか、じゃあ帰ろうぜ」
その日はもう家に帰宅した。
久しぶりの学校で疲れたのだろうか家に入った途端に疲労が押し寄せてきた。
僕は、部屋に鞄を置いてその後ある部屋に向かった。
その部屋にはベッド、ソファ、そしてピアノが置いてある。
僕はそのピアノの椅子に座り自分の腰を背もたれに預ける。
ここが一番僕の落ち着く場所だ。
嫌なことがあってもここに来れば安らかな気持ちになる。
そして僕はピアノの鍵盤に指を置く。
今まで何回も何回も引いてきたあの曲を引いてみる。
ゆったりした短い曲、僕はこの曲の名前を知らない。
何故この曲を引けるのかも分からない。
遠い昔に誰かに教わったのだろうか?
だんだんと眠気が襲ってきた。
僕はピアノに体を預けそのまま深い眠りについた…